◆何はともあれユーベが9連覇
欧州で最も早く新型コロナウイルスの深刻な影響を受け、欧州4大リーグで最も再開までに時間を要したセリエA。約3カ月半の中断期間があった中、前例のないシーズンを制したのはやはり王者ユベントスとなった。

とはいえ、サッリ監督を迎えた今季のユベントスは優勝した過去8シーズンとは違い、盤石な戦いを見せたわけではなかった。“サッリズム”と称されたナポリやエンポリで称賛されたパスサッカー主体の戦術が最後まで浸透することはなく、FWクリスティアーノ・ロナウドとFWディバラの個を押し出したスタイルで、接戦を何とか拾い続けての優勝だった。それでも最終盤にスクデットを争ったインテルやアタランタとの直接対決で上回っていたことが大きく、ある程度余裕をもって戦えたことが9連覇に繋がったと言えそうだ。ただ、セリエA終了後に行われたチャンピオンズリーグ(CL)でリヨンに敗れたことを受け、サッリ監督が電撃解任されている。

そのユベントスと前半戦を終えた段階でスクデットを争っていたインテルは、第23節でミランとのダービーを制し、首位に立つ健闘を見せた。コンテ監督を迎えた中、ソリッドなチームに変貌を遂げたネラッズーリは、リーグ最強の2トップであるFWルカクとFWラウタロ・マルティネスのコンビでゴールを量産し、DFデ・フライを軸とした3バックも堅牢だった。しかし、不運にも中盤に故障者が続出した影響もあって勢いを失い、リーグ再開後は格下に勝ち点を取りこぼすことが目立ってしまった。それでも来季以降、ユベントスの優勝を阻む最大のライバルとしてリーグを盛り上げてくれそうな気配が漂っている。

昨季の3位に続き、良い意味で驚きを与えてくれたのがアタランダだった。シーズン前半は初のCLを戦った影響で不安定だったが、リーグ再開後は文字通り無双した。13試合を戦って9勝3分け1敗と圧巻の成績を残した。就任5シーズン目を迎えたガスペリーニ監督の下、ハードワークと前線からのプレスが格段に強化され、リーグ最強の攻撃力を誇ったアタランタは、来季以降も観る者を魅了するスタイルで進化を遂げるはずだ。

シモーネ・インザーギ監督の下、徹底したカウンタースタイルで、リーグ中断前にはユベントスに1ポイント差としていたラツィオも健闘が光るシーズンだった。得点王に輝いたFWインモービレと、パサーのMFルイス・アルベルトのホットラインでゴールを積み重ね、優勝争いに絡んで見せた。残念ながらリーグ再開後は負傷者の影響もあり失速したが、ユベントスを脅かす存在だったことは間違いない。

CL出場権に届かず5位フィニッシュとなったローマだったが、決して悪いシーズンではなかった。フォンセカ監督を迎えたチームは、試行錯誤を繰り返しながら成長を遂げていった。最終的には3バックに落ち着き、各選手のキャラクターとマッチ。攻守にバランスが整ったことで内容の伴った勝利が増え、来季に期待を抱かせている。

そのローマと最終的にヨーロッパリーグ(EL)ストレートインを懸けて争ったミランは、ジャンパオロ体制が大失敗だった中、繫ぎの意味合いが強かったと思われるピオリ監督の招へいで意外にも復活を遂げた。第8節から指揮を執ったピオリ監督はチームに規律をもたらし、攻守のバランスを改善。1月にFWイブラヒモビッチが加入して以降は攻撃力も増し、中断明け以降は無敗で駆け抜けた。この好調を受け、ピオリ監督は来季以降の続投も勝ち取っている。

アンチェロッティ体制2季目で優勝を狙えるかに思われたナポリは、思わぬ躓きを見せた。CLではグループステージを突破したものの、リーグ戦で結果が出ていなかったことで12月にアンチェロッティ監督が解任された。しかし、後を受けたガットゥーゾ監督が徐々にハードワークを浸透させ、チーム状態が上向きに。リーグ再開後に行われたコッパ・イタリアではユベントスを下して優勝を勝ち取った。

そして今季はセリエAに初挑戦した2人の日本人選手の活躍も嬉しいトピックとなった。ボローニャに加入したDF冨安は本職ではない右サイドバックながらシーズンを通してレギュラーとしてプレー。質の高いプレーを続け、自身の価値を大いに高めた。

また、1月にサウサンプトンからサンプドリアに加入したDF吉田も降格圏付近を彷徨っていたチームを残留に導く働きを見せた。中断明け後、センターバックのレギュラーに定着し、4試合を残して残留を勝ち取ったチームの一員として欠かせない働きを果たした。

降格したのは昇格組のブレシアとレッチェに加え、3シーズンに渡ってセリエAを戦っていたSPALとなった。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWチーロ・インモービレ(ラツィオ)
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ユベントス優勝の原動力となったディバラと迷ったが、セリエAの歴代シーズン最多ゴール記録に並ぶ36ゴールを挙げたインモービレを選出。2015-16シーズンにナポリで樹立したFWイグアインの記録に並んだインモービレは、シーズンを通してコンスタントにゴールを記録。C・ロナウドの追い上げにもあったが、終盤の5試合で7ゴールを荒稼ぎし、突き放して自身3度目のセリエA得点王に輝いた。

★最優秀監督
◆ジャン・ピエロ・ガスペリーニ(アタランタ)
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就任5シーズン目を迎えた中、アタランタをよりソリッドに、インテンシティーの高いチームに仕上げた。[3-4-2-1]でシステムを固定した中、オートマティックな連動性あるチームに磨き上げ、今季もセリエA最強の攻撃力を誇った。攻守一体の組織力は今や欧州屈指のレベルに達している。

【期待以上】
★チーム
◆アタランタ
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名将ガスペリーニ監督によって鍛え上げられたチームは、中断明け後の過密日程も何のその、疲労知らずで勝利を積み重ねた。怒涛の追い上げでユベントスを捕まえられそうなところまで来たが、あと一歩届かなかった。それでも、チームの規模を考えれば昨季の3位と同様、最高のシーズンを過ごしたと言えそうだ。

★選手
◆ロビン・コセンズ(アタランタ)
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セリエAファンでも彼がここまで活躍する選手に成長を遂げるとは想像できなかったのではないだろうか。ドイツの無名クラブの下部組織で育った左サイドハーフは、オランダでプロキャリアを積み、2017年夏にヘラクレスからアタランタに加入。在籍3年目の今季、大きな飛躍を遂げた。無尽蔵のスタミナでアップダウンを繰り返し、9ゴール8アシストと出色の成績を残した。この活躍を受け、ユベントスやチェルシーといったビッグクラブが獲得に乗り出すに至っている。

【期待外れ】
★チーム
◆ナポリ
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ガットゥーゾ監督を迎えてコッパ・イタリア優勝こそ果たしたものの、開幕前はユベントス、インテルに次ぐ優勝候補かと思われた中、スクデット争いに絡めなかったことから選出。アンチェロッティ体制2シーズン目で期待が大きかったが、主力のメンツが昨季とほぼ変わらずマンネリ化の影響もあったのか、平行して戦っていたCLで疲弊したのか、思わぬ躓きを見せてしまった。

★選手
◆FWイルビング・ロサーノ(ナポリ)
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期待外れのナポリからロサーノを選出。PSVで十分な実績を残し、ワールドカップでも活躍したウインガーはセリエAで躍動するかに思われたが、クラブ史上最高額の3800万ユーロの移籍金に見合わず、わずか2ゴールと全く振るわなかった。PSVの先輩であるFWメルテンスがナポリの歴代最多ゴール記録を樹立するレジェンドとなった中、ロサーノは来季以降、ナポリっ子から愛される選手となるだろうか。