昨年米ニューヨークの世界最大級の美術マーケット「Artexpo New York」で1000組を超えるアーティストの中から「最も注目する5人」に選ばれたお笑い芸人のくっきーが、本格的に「COOKIE」名義でのアーティスト活動を発表した。デビューを飾るイベント「Real Tokyo Art.」が、千代田区神保町の「KOMIYAMA TOKYO」で4月12日(日)まで開催している。今回は、くっきー(COOKIE)にアートのテーマや、芸人とアーティスト業の両立など、独占取材を行った。

■アートのテーマは「海で生きる人間」…まぁ、設定は後付けなんですけど(笑) 
 
――まず、今回開催されることになった「Real Tokyo Art.」について教えてください。
 
【COOKIE】本当は、「アートフェア東京」でデビューさせていただく予定だったのですが、このご時世でイベントが中止になってしって。でも、「この作品を世に出さないのはもったいない」と小宮山書店さんにお声がけいただいて他6名のアーティストの方達と「Real Tokyo Art.」に参加させていただくことになりました。
 
――COOKIEさんの絵が実際に販売されているわけですね。製作されたアートのテーマや内容を教えてください。
 
【COOKIE】未来の人間をイメージしている「海対応」が今回展示しているアートのテーマです。地上がすべて沈んで海になったら、人間はどう進化しているかを描いています。ちゃんとひとつひとつに進化の意味も作っています。

 
【COOKIE】例えば、顔が3つあるのは疑似餌。チョウチンアンコウのようなイメージです。あとは、身体が分断されているのは陸の人間が仕掛けた網をそのまますり抜けられるような進化だったり。岩肌とかにぶつかっても大丈夫なように海藻的なものを身体に巻きつけているのは、ファッション性を高くするためですね。
 
――そのテーマの着想はどこから得られたんですか?
 
【COOKIE】実は後付けなんですけどね(笑)。なんとなく描いて、仕上げのときに考えました。人間が海で生きていくために進化したらどうなるのかって、まあウォーターワールドみたいなもんですよ(笑)。
 
■作風のキモい、グロい、は“気持ちいい”と同じ 
――今回のシリーズも、奇抜な印象を受けるのですが、COOKIEさんはテレビで「すべての生き物は美しくなる権利がある」とおっしゃっていました。「グロい」「キモい」などと言われることもあるご自身のアートについて、どう思ってますか。
 
【COOKIE】「グロい」「汚い」と評価いただくのは、おおいに結構だと思います。人間、ションベンしたりゲロ吐いたりするのって、実は涙を流すのは同じくらい気持ち良いらしいんですよ。でも、涙は綺麗ですけど、ションベンもゲロも汚いじゃないですか(笑)。でも、体内から出す気持ち良さに美しいも汚いもないと思っているので、僕はどちらも一緒だと思っています。
 
――今回は14点の作品を展示されているとのことで、製作期間はどのくらいだったのでしょうか。
 
【COOKIE】ぼく結構早描きで。バーっと集中して休まず描くタイプなので、ちいこいのでだいたい3〜5時間くらい。色を塗って乾かしてが入ってくるので、1点2日くらいかな。なので、今回すべての製作期間だと、2カ月弱くらいだったんじゃないですかね。
 
 
■アーティストとしての評価はうれしいが、芸人の延長では意味がない 
――昨年、米NYで開かれた世界最大級の美術マーケット「Artexpo New York」で1000組を超えるアーティストの中から「最も注目する5人」に選ばれ、国内でも「超くっきーランド」の開催などアーティストとしての仕事が増えてますね。
 
【COOKIE】「Artexpo New York」で選ばれたときは、めちゃめちゃうれしかったですね。行きの空港で社員の方から「最も注目する5人」に選ばれたと聞いたときは、縦に叫びまし
たね、うおー!って(笑)。
 
――芸人とアーティストは両立されているイメージでしょうか。それとも、ご自身のなかで別の顔のイメージでしょうか。
 
【COOKIE】アーティストとして評価いただくことはすごくうれしくて。いままでは芸人の一環で描けたらいいと思っていたんですけど、アート業界の方々とお話ししていくうちに、芸人の延長線上としてやるなら意味ないかもと思ってきたので、いまはお笑いはお笑い、アートはアートで分けていますね。
 
でも、普通にアートとして描くのもまたちょっと違うなとも思うので、完全にぱっきり分けているというわけではないかもしれません。
 
■芸人のほうが儲かる。絵を描くのは「お金のため」じゃなく好きだから
 
――COOKIEさんのように、芸人さんがお笑い以外のステージ、例えば作家や映画監督、俳優などさまざまな場所で自身を両立させて活躍する時代になってきていますが、この流れをどう考えていますか?
 
【COOKIE】好きならば、いいですよね。暇やから、休みがあるから、お金がほしいからやるんだと違います。芸人のほうが儲かるのに僕が忙しいなか合間を縫って絵を描くのは、絵が好きだから。売れようがが売れまいが死ぬまで絵は描き続けたいとは思っています。でも、いろいろなチャンスがあるのは基本的にはいい流れですよね。
 
――今後のアーティストとしての展望があったら教えてください。
 
【COOKIE】ぼくはもう描き続けるだけですね、自分、不器用ですから(笑)。僕が描いた子供たちを、みなさんに買っていただければそれは本当にありがたいです。いまは一点一点に見えているものも、大河ドラマのようにいずれひとつのストーリーとして見せることができると思うのでそこは楽しみにしていてほしいです。絵は好きなので、死ぬまで書き続けたいです。
 

COOKIE /くっきー
1976年3月12日生まれ、滋賀県出身。日本のお笑い芸人。吉本興業所属。コンビ・野性爆弾として活動、ネタ作りからコントの小道具まで全て自身が手掛けている。独特な世界観が評価されアーティストとしても注目され、2018年国際公募展「ART OLIMPIA 2019」アンバサダーに就任。2019年Artexpo New Yorkでは最も注目するアーティスト5人に選出されている。