1964年に大阪府守口市で設立された(現在の所在地は門真市)、国内フィギュア制作メーカーのパイオニア「海洋堂」。業界の方向性や基盤を築いた造形集団だ。

代表作のカプセル(ガチャガチャ)フィギュア「戦闘車両シリーズ」や「恐竜シリーズ」を展開しているほか、カプセルブランド「カプセルQミュージアム」も人気。さらに既存コミックやアニメの人気キャラクターのフィギュア化は、他の追随を許さぬほどの圧倒的な品数を誇っている。

今回は、モノづくりのこだわりや、ヒットした商品や失敗した商品、今後の展望などについて広報担当者に聞いてみた。

■名物専務の独自感覚で決まる超精巧な造形作品

まずは、株式会社海洋堂・広報の白川さんに、モノづくりのこだわりや商品開発の裏側などについて聞いてみた。

「『新しいモノ、楽しいモノ、珍しいモノ、面白いモノ、どこにもないモノ、そしてより優れたモノづくり』を創出することを基本姿勢に、『極めて専門的な知識を伴った生物/動物』や『精緻な戦車ミニチュア』など、これまでにない題材を次々にフィギュア化しております。

数人が集まっての企画会議などで決めるという一般的な状況はあまりなく、海洋堂を体現する存在で、『センム』の愛称で呼ばれている宮脇修一専務の独自感覚や、実際に造形を行う造形師の嗜好感覚で企画が決まることが多いです。

商品開発については、造形作家が作り出した形状であったり、塗装作家の描き出した豊かな彩りを、可能な限り商品として再現することを命題にしております」

カプセルに収まる小さなフィギュアが、1つ1つ海洋堂の造形作品として、精巧に生み出されていることが感じ取れる。

■【ヒット作1】動物を擬人化したリアルな姿がキュート

数あるヒット商品の中からイチオシ4種を厳選してもらい、ヒットの理由も教えてもらった。

まず1つ目は、カバやパンダといった動物の毛並みや模様、表情の1つ1つまでこだわり抜いた「佐藤邦雄の動物たち『つれ〇o〇』」シリーズ。

「人気イラストレーター佐藤邦雄氏の描く、愛らしい動物たちのイラストを掌サイズで立体化しています。後姿はもちろん、イラストでは見ることができなかった前姿もみることができます。思わず笑みがこぼれるようなシリーズです」

■【ヒット作2】ホビー界を牽引するイラストレーターとモデラーがタッグを組む

続いて2つ目は、「35ガチャーネン 横山宏ワールド シリーズ」。原型制作は圧倒的なメカニック造形力を誇る、海洋堂所属の造形師・谷明氏が担当。

「イラストレーター兼モデラーである横山宏氏の代表コンテンツ『Ma.K.』(マシーネンクリーガー)パワードスーツを、プラモデルとしてカプセルトイ化した人気シリーズです。500円というお手軽な価格でプラモデルを楽しめるという点も、ヒットの理由かと思います」

■【ヒット作3】戦車ファンがうなる精密ディテールで、走らせて遊べる

3つ目は、海洋堂ならではの超絶本格造形なのにキュートさも際立つ「ワールドタンクデフォルメ シリーズ」。

「デフォルメにしてリアル。精密なのにかわいい。走行する戦車フィギュアシリーズです。ラインナップは毎回、宮脇専務が考案。精密ディテールに、プルバックゼンマイを内蔵し、走らせて遊ぶ楽しみもあるイチ押しのコレクションです」

■【ヒット作4】世界的な人気陶芸作家の作品をフィギュア化

そして4つ目は、素朴で温かみのある表情豊かな動物が愛されている「リサ・ラーソン ミニチュアファブリカ シリーズ」。

「スウェーデンを代表する、人気陶芸作家リサ・ラーソンのミニチュアフィギュアシリーズです。作品ごとに独特のフォルムと、質感を忠実に再現しています。『ヴィンテージ作品』と呼ばれる、現在は製造されていない貴重なコレクションもフィギュア化していることが人気の理由ではないでしょうか」

■【失敗作1】存在感が強過ぎてコワイ!?

続いては、リアル過ぎるなどの理由で不評な失敗作を3つ教えてくれた。

1つ目は、「ネコバッジ」。安全ピンとクリップが付属し、バッグや帽子などに付けることができるのに、なぜか人気はそこそこ。その理由を聞くと…。

「猫の超本格造形ヘッドモデルで『かわいい』という声もある一方、『存在感が強すぎ』『リアル過ぎてコワイ…』という声も」

■【失敗作2】選定の渋さがあだに

2つ目は、戦闘機イーグルをフィギュア化した「デフォルメエアクラフト Vol.1 F-15J/DJ・F-4EJ改」。

「マニアも納得のこだわりポイントを抑え、デフォルメを加えたデザインですが、『ラインナップの選定が渋すぎる』というご意見もあり…」

■【失敗作3】大胆な切り取りが鉄道ファンに不評

そして3つ目は、「HOトレインヘッドコレクション」。鉄道模型の“いちばんおいしい箇所”ともいえる車体正面だけを、全長わずか5cmとコンパクトサイズで大胆に切り取り、ディスプレイ場所を取らないのが自慢のはずだが…。

「HOゲージの車体サイズで、車体の正面だけを切り取るというアレンジを加えた大胆な作品ですが、鉄道ファンからは『サイズ感よりも車体全体を表現してもらいたかった』という声がありました…」

■復活も予定!さらに充実したラインナップに期待

ヒット作と失敗作を紹介したが、最近は「リサ・ラーソンさんの作品をフィギュア化した『リサ・ラーソン ミニチュアファブリカ』は、大人の女性から好評を得たことが新鮮でした。人気でシリーズは4弾まで展開しております」とのこと。

今後の展望を聞くと「カプセルフィギュアはその性質上、日常生活のなかでの一期一会なお客さまとの出会いをきっかけに、手に取っていただくことがほとんどです。ですので、定番アイテムとして皆さまに長く楽しんで、たくさん集めていただける展開も行いたいですね。

現在は生産終了で入手が困難になったシリーズの復活などを考えております。皆さまのご自宅に海洋堂のミニフィギュア博物館をオープンしてもらえるぐらいにラインナップを充実させたいです」と語った。

プロフェッショナルたちが手がける、長く愛着が持てる精密なフィギュアにこれからも期待したい。

取材・文=下八重順子

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