10月16日に公開された映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が上映作品史上最速の興行収入100億円を突破。SNS上では、「煉獄さんを『300億円の男』にしよう!」という声もあり、興収300億円突破に向けた動きが活発になっている。関連商品の売り上げも好調で、コンビニやスーパーに行けば数多くの「鬼滅コラボ商品」を目にし、「鬼滅の刃」ブームは過熱する一方だ。

さらに、同作の主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の竈門性と同じ名前の神社や、宿敵・鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)の本拠地「無限城」を彷彿とさせる老舗旅館、炭治郎が修行中に斬った岩そっくりの「一刀石」など、ファンの間で「聖地」と認定されたスポットに多くの人が集まっている。そこで、ウォーカープラスの新企画「ウォーカービズ」では、鬼滅現象によって再認識される“アニメ聖地”の力と、そのスポットの魅力を紹介する。

■炭治郎のエピソードとシンクロ!奈良の巨石「一刀石」で名シーン再現

まずは、一目見ただけで炭治郎の名シーンのようだと思える場所を紹介。奈良市の柳生町地区にある、縦に真っ二つに割れた巨大な石「一刀石」だ。

この巨石があるのは、剣術・新陰流の達人である兵法家・柳生石舟斎が天狗を相手に剣術の稽古をしたと伝えられている場所。一刀石には、天狗と勝負になった石舟斎が一刀のもとに相手を斬り捨て、2つに割れた巨石が残ったという逸話が残されている。

作中には、炭治郎が修行中、師匠である鱗滝左近次(うろこだきさこんじ)に「この岩を斬れたら最終選別に行くのを許可する」と言い渡されるシーンがある。岩の巨大さに挫折しそうになる炭治郎の前に、兄弟子・錆兎(さびと)が現れ、「俺は岩を斬っている、お前より強い」と勝負を仕掛ける。炭治郎は修行の果て、狐の面をかぶった錆兎と戦い勝利するが、面を斬ったはずの刀が実は岩を斬っていたというエピソードだ。作品とシンクロする部分が多いことから注目を集め、同地でコスプレをし「原作再現」の写真を撮るファンも多いという。

柳生観光協会事務局長の黒田さんは、「これまでは歴史好きの高齢者やハイキングの方が多かったのですが、最近は若者や家族連れの観光客が増えました。車で訪れる際は、柳生観光駐車場を利用していただければ」と話す。

■「無限城」そっくりと話題となった芦ノ牧温泉の老舗旅館・大川荘

自然の景色だけでなく、作中に登場する場所に似ていると注目される旅館がある。福島県会津若松市の芦ノ牧温泉にある旅館・大川荘だ。芦ノ牧温泉のなかでも老舗旅館として長年愛されている同旅館だが、その吹き抜け部分にある浮き舞台が、主人公の宿敵・鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)の本拠地「無限城」を彷彿とさせるというのだ。

大川荘の浮き舞台では三味線の演奏が行われることもあり、SNS上では、琵琶を奏でることで空間操作などの血鬼術を使った「上弦の肆・鳴女(なきめ)」を連想する声もあがっている。

老舗旅館としてもともと人気の高かった大川荘も、一時期は全館休館するなど新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた。それでも営業再開以降、鬼滅の舞台に似ていると話題を知った人からの宿泊の問い合わせや、鬼滅のアクセサリーや衣装柄のマスクを身につけた宿泊客が増えているという。

大川荘で広報を担当する鈴木直樹さんは「正式なモデルというわけではないのに話題にしていただけるのはありがたいお話。こちらとしては特別何かをするわけではないが、作品がきっかけでお越しいただいた方にも最高のサービスを提供して、大川荘の魅力を知ってもらえるようにしたい」と話す。新型コロナウイルス感染症の影響で観光業界全体が苦境に陥るなか、鬼滅の刃の影響力をうかがわせるエピソードだ。

■善逸の技と重なる?奈良の「葛木坐火雷神社」

さらに、その由来や名前から鬼滅の刃と縁が生まれた聖地も。奈良・葛城市の「葛木坐火雷神社(かつらきにいますほのいかづちじんじゃ)」は、火雷大神と天香山命を主祭神とし、平安時代にはすでに創建されていたという由緒ある古社。神社の祭神である火雷大神は「火雷神」(ほのいかづちのかみ)をさらに敬った呼び方であり、炭治郎とともに鬼狩りの剣士として活躍する我妻善逸(あがつまぜんいつ)の技「雷の呼吸 漆ノ型 火雷神」と同じであることから注目を集めた。

宮司の持田さんは、「コスプレに限らず、グッズを持って撮影しているファンの方も多数いらっしゃいます。お子さんや若い方の参拝も増えているので、これをきっかけに日本の歴史や神様に興味を持っていただけたらうれしいですね」と語る。

社号標は神社の入り口にあり、その前で技のポーズを取ると技の名前も一緒に写真に収めることができると、人気の撮影スポットにもなっているという。なお、訪れた際は必ず境内奥の拝殿でお参りをしよう。通常の参拝者も多いため、マナーを守って互いに気持ちよく過ごせるよう行動することが大切だ。

■炭治郎と禰豆子の苗字を冠する「宝満宮竈門神社」と「八幡竈門神社」

福岡県太宰府市の「宝満宮竈門神社(ほうまんぐうかまどじんじゃ)」と、大分県別府市の「八幡竈門神社(はちまんかまどじんじゃ)」はどちらも主人公の炭治郎や妹の禰豆子の苗字と同じ「竈門」の名を冠することから、”鬼滅ファン”が訪れるようになり、キャラクターのイラストが描かれた絵馬も数多く奉納されるようになったという。

もともと縁結びの神様として知られ、女性の参拝者が多かった宝満宮竈門神社・権禰宜の馬場宣行さんは、2019年の11月頃から“鬼滅ファン”の参拝が増えていることに気付いたと話す。馬場さんは「ファンの方々からそうした話題に取り上げていただいて、竈門神社という御社を知っていただくきっかけになったのは非常にありがたい」と好意的に受け止める。最近は大人のファンだけでなく、子供連れで訪れる家族での参拝者も増えたという。

大分県別府市の八幡竈門神社でも同様に、シンパシーを感じたファンが参拝していると話題になり、ファンの奉納した絵馬なども見かけることができるという。神社として歴史と情緒のある場所であることから、その雰囲気が作品とマッチするのも注目される理由の1つだろう。

このように、漫画やアニメをさらに楽しむ方法として定着した「聖地巡礼」だが、今回の鬼滅ブームによってその魅力と楽しみ方が再認識され、各地で活況となっている様子が伝わってくる。ファンの来訪に好意的なスポットも多いが、作品と正式にコラボしているわけではなく、温泉宿や神社として通常の宿泊客や参拝者も多い。訪れる際は“宿泊やお参りを必ず行って”、マナーを守って「鬼滅聖地巡礼」を楽しもう。

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
※禰豆子の禰は「ネ+爾」

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