「今一番泣ける漫画」とSNSで口コミが広がり、120万部を突破するほどの大ヒットを記録した人気コミック「10万分の1」が11月27日(金)に映画化される。そんな本作で、白濱亜嵐とともにW主演を務めたのが女優の平祐奈だ。これまでも多くの少女漫画原作の実写化で、ヒロインを演じてきた平祐奈。そんな彼女が今回挑戦したのは、明るくて元気なキャラクターでありながらも、不憫な運命に立ち向かっていく桜木莉乃だ。いよいよ公開される本作への思いや、莉乃を演じて学んだこと、今考えている“演じること”の意義について語ってもらった。

■“19歳の私”と“20歳の私”の違いに驚きました

ーー本作への出演が決まったときの気持ちを教えてください。

【平祐奈】もともと「10万分の1」を読んでいて、「いつか映画化されることがあったら、莉乃の役をやりたいな」って思ってました。だから、出演が決まったときは「あ!できるんだ!」ってすごくうれしかったです!でも、莉乃の役は、私にとって初めての重たい役柄だったので「大変な部分もあるんだろうな」と不安がよぎりました。

ーーそんな中、撮影中に大変だったことがあれば、教えてください。

【平祐奈】たくさんありましたね。泣くシーンが多かったこととか、転ぶシーンが多かったこと、使ったことのない杖を使うこと…。撮影に入る前から杖をついて生活してみたり、ALSを題材に描かれている作品を観たり、いろいろな準備をしました。10月と3月に分けて撮影したので、気持ちのつながりや、動き方に矛盾がないようにという点は気を使いましたね。あとは、「(10月と3月に撮影したので)顔が違うな」って思いました(笑)。19歳の私と20歳の私の違いに驚きました。

■10万分の1の確率でなるALSという病気を知ってほしい

ーー莉乃を演じる上で大切にしたことはありますか?

【平祐奈】映画を見る人の中には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気がどんな病気かわからない人も多いと思うので、ちょっとでもALSについて正しく知ってもらいたいと思いました。だから、ちゃんとALSについて調べたり、撮影が始まる前に、ALSの患者さんに会って最初動けなくなったときの話を細かく聞いてヒントをもらいました。そうしていく中で、演技の仕方や動きはもちろん「ALSになってしまった人はこんなとき、どんな気持ちなんだろう」、「自分が本当になったらどう思うんだろう」ってたくさん想像しました。

ーー撮影前にALS患者の方に会いに行ったのですね。

【平祐奈】はい。映画のシーンともリンクしているんですけど、すごく前向きに「時間は有限だから」っておっしゃって、一生懸命前を向いて過ごされている姿を見て、逆に私も頑張らなきゃって背中を押してもらえました。

ーー先ほど、たくさんALS患者さんの気持ちを考えたとおっしゃっていましたが、平さんが莉乃の立場ならどのようなことを考えると思いますか?

【平祐奈】たぶん莉乃と同じことを思うだろうなと思いました。とくに「まだ10代だし、これから長い人生、私と一緒にいたとしても後悔するよ」って(白濱さん演じる)蓮くんに言うシーンは、莉乃の言葉というよりも、自分の感情が溢れだしてましたね。それに「10万分の1の確率でなる病気に、なんで自分がなっちゃったんだろう」って思うだろうけど、原因もわからないし、誰も悪くないし、精神的にやられてしまいそうだなと思いました。今まで普通に生きてきて、当たり前のようにできていることを大切に、過ごさないといけないなって。

■「ちょっと待って、何言ってんの。親友に謝ってよ」

ーー莉乃を演じていて、素敵だなと思ったこと、学んだことがあれば教えてください。

【平祐奈】思いやりがあって、家族や友達、恋人を大切にしていることですね。ネガティブなところもあるんだけど、根っこが強いところや、ぶれない芯の強さは、私もそうでありたいなと思いました。

ーークラスメイトとの喧嘩のシーンもすごかったですよね。

【平祐奈】実は、あれがクランクインのシーンだったんですよ。「いきなり怒るんだ」ってびっくりしちゃいましたよね。

ーー平さんは、莉乃のように言いたいことがあったら相手に言えるタイプですか?

【平祐奈】うーん…あそこまではっきりとは言えないですね。「キレる前に深呼吸しようかなぁ」って思っちゃいます。だからこそ、役でできたので、スカッとしました。

ーー平さん自身は高校時代に、友達関係で喧嘩したような経験はありましたか?

【平祐奈】あー…さっき「あそこまではっきりとは言えない」って言いましたけど、似たような経験、ありました(笑)。高校時代、私の親友に暴言を吐いた男の子がいたんですよ。少し前から、そのことは親友のお母さんから聞いてたんですけど、目の前で聞いたことがなかったんですね。それが、席替えで男の子と席が近くなったときに聞こえちゃったんです。そのとき、授業中だったんですけど、立ち上がって「ちょっと待って、何言ってんの。親友に謝ってよ」って言っちゃったんですよ。そんなこと、今まで1度もなかったのに。親友が苦しんでいるのは、許せなかったんですよね。

■コロナ禍で「明るくて元気な役」を演じられる喜びを感じた

ーー平さんは莉乃のように、逆境に立たされて、立ち向かった経験はありますか?

【平祐奈】うーん…まだないかもしれませんね。環境と人に恵まれてきたので。もしかしたら、「のほほん」と生きてきて、気づいていないだけかもしれませんけど。

ーー自分の仕事ぶりにも悩んだこととかもなく?

【平祐奈】そうですね。あんまり悩んだことはないです…。でも、今回コロナウイルスの影響でこういう状況になってから、1人になる時間が多くて。初めて、3カ月ぐらい1人暮らしをしたことで、今まで歩んできた人生、これからの人生みたいなのを自問自答しました。結果、「私は1人にはなれない人間なんだろうな」という気づきはありました。

ーーこのような状況の中で、映画館に足を運ぶことも、以前よりは気軽でなくなってしまいました。そんな中で、エンターテインメントの存在意義について考えることはありますか?

【平祐奈】私自身、「おうち時間」のときはエンタメにたくさん助けられましたね。「おうち時間って何したらいいんだろう」っていうときに、今は配信もあるので、ドラマや映画をいっぱい観て、そこで喜怒哀楽をともにできたり、1人で寂しいはずなのにドラマに笑わされたりして、すごく救われました。だからこそ、「これからもエンタメを発信していきたいな」って改めて考えさせられました。

ーー最後に、今後どんな役をやってみたいですか?

【平祐奈】これまで普段の自分と近い“元気で明るい女の子”を演じることが多かったので、今までは「ちょっと悪い役とか不良役をやってみたい」って答えてました。でも、こういう状況を経て、やっぱり世間の人に、穏やかで、和やかな気持ちになってもらうためには、今まで通り“元気で明るい女の子”を演じるのもいいなと思えたんです。だから、ハッピーな役や、人と共感できるような役に出会っていけたらうれしいなと思います!