ウォーカープラスの新企画「ウォーカービズ」では、ビジネスシーンはもちろん、プライベートの“質”を向上させる「知って得する仕事の話、人生の話」をフィーチャー。当企画では、さまざまな業界で結果を残した“トップランナー”たちにインタビューを行い、成長の分岐点となったエピソードや、人生の明暗を分けた決断の舞台裏を紹介していく。
【おぎぬまX物語・第2回】
今回紹介するのは、「山籠り、断食などハチャメチャな修業をした結果、ギャグ漫画家の登竜門・赤塚賞で29年ぶりの入選者になっちゃった人」として、TV番組『激レアさん』(テレビ朝日系)に登場して話題となった漫画家・おぎぬまXさん。大学時代、漫画家を目指しているのになぜか“ピン芸人”になってしまった理由を聞いた。
■絵がヘタすぎたから…?「両親は漫画家ではなく芸人を目指すことにホッとしていた」
――漫画家を目指しながらも、なぜか(?)“芸人”になったおぎぬまXさん。大学時代の友人とお笑いコンビを組んだとのことですが、ネタを作っていたのは?
【おぎぬまX】コンビのときはどちらもネタを作っていました。ボケとかツッコミとかを明確に決めていなかったので、自分が作ったネタでは自分がボケて相方にツッコミをさせるみたいな感じでした。互いに我が強くて、相方がいないときに、「俺がネタ作ってる」「俺がコントロールしてる」って主張し合っていた気がします。
――お笑い活動は積極的にしていましたか?
【おぎぬまX】ともかく場数を踏みたかったので、和光大学のお笑いサークルに顔を出して、サークルが主催するライブに出演したり、大学内で毎月単独ライブをしていました。それ以外にも、他校の学園祭や児童施設でネタをしたり、友人のツテでものすごい高級ホテルで営業したりしました。あまりよく覚えていないのですが「鳳凰の間」みたいないかにもなフロアで、板前さんとかが寿司を握るなか、大学生の自分みたいな奴がステージでネタをすることになったんですよ。出囃子でM-1の「ヒズ!カンカンカン!カンカンカン!カンカンカーーン!」って曲が流れて、ボロボロのパーカーを着た僕と相方が出て来て、大勢の前でネタをしたのですが、本当にあれはなんだったんでしょうか?夢だったのかもしれません。
それから学生芸人の大会で決勝戦にまで行ったりして、今思えばそんなことは全然大したことないのですが「よっしゃ、このままプロ目指すか」って感じになり、2人で話し合った結果、「人力舎の養成所に行くぞ」ってことになりました。入り浸っていたお笑いサークルの部長もピン芸人として、僕たちと同じく人力舎の養成所に入学することになり、僕と相方と部長の3人で「売れるぞ!」と燃えていました。ちょっと青春っぽかったですね。同世代はそういうの卒業して、社会へ出るタイミングなんですけど。
――漫画家を目指していたのに、お笑いのへの転換で周囲の反応は?
【おぎぬまX】漫画家を目指していたのに「急に芸人に?」って周囲はザワザワしましたが、両親は僕の絵がめちゃくちゃ下手なのを知っていたので、リスキーだけど漫画家よりはマシと思ってホッとしていました。実際、僕の中学時代の美術の評価は3年間オール1で。1年生のとき、美術の成績が1なのが嫌すぎて、通知表を修正液で消してボールペンでその上に2って書いたら、それが先生にバレてめちゃくちゃ怒られました。
そのペナルティーなのか、それとも絵が下手すぎたのか、3年間ずっと成績1になったんですよ(泣)。それぐらい“絵の才能”がなかったので、親からすると漫画家よりは一歩、真人間に近づいたと感じたのかもしれませんね。世間的にはどちらも茨の道だと思いますが…。
■ペッパーくんにも負けた…「『R−1ぐらんぷり』も4年間すべて1回戦落ち」
――両親に応援されつつ入った人力舎の養成所はどんな雰囲気でした?
【おぎぬまX】スクールJCAっていう人力舎の養成所に相方と入学して、学生時代と同じく「ドラゴンフライ」というコンビ名で活動を始めました。養成所って基本、相方を探すための場所でもあるので、相方が決まっていた僕は若干有利というか、自信満々で行ったんです。他の生徒はまだライブに出たこともない人がほとんどなわけですから。でも入学してすぐに講師陣にネタを見せる機会があって、「本当につまんない。解散しろ」って言われて(苦笑)。養成所に入学して早々に、解散することになりました。
――怒涛の展開ですね。
【おぎぬまX】お互いに人間として青かったので、「相方がつまらなかったんだ」って言い訳するような状態でした。なので、相方より面白くなるぞという決意表明なのか、解散した翌日、僕は丸坊主にして、相方は金髪に染めてきて「形から入りすぎだろ!」と周りから呆れられました。養成所って僕の世代は130人くらいの生徒がいて、そのうち10組ぐらいが事務所に入れるのですが。それ以外の人は卒業と同時に全員クビっていうか、野に放たれる感じなんですね。そのため「俺は絶対に生き残るんだ!」って燃えていて、コンビ解散後はおぎぬまXと名乗り、ピン芸人としてやっていくことになりました。
――現在のペンネームはそのときの芸名なんですね。
【おぎぬまX】そうですね。それから無事、養成所を卒業して人力舎の芸人としての生活は4年間ありましたが、本当に楽しかったです。ライブもいっぱい出て、たくさんの芸人とも知り合えたし、すごい応援してくれるファンの方もいて。本当に充実していたんですけど、ともかく売れなくて。賞レースにもまったく縁がなくて、『R−1ぐらんぷり』も4年間すべて1回戦落ちでした。人間じゃないペッパーくんとかが2回戦にいく世界なのに…。
もともと、漫画家として一直線で行けないから、芸人としての経験を積んで「回り道するぞ!」と思ったら、芸人としても全然売れないんだっていう。そこは完全に“計算違い”で、急がば回れで大失敗するパターンってあるんだと思いました。
――修業しに行ったけど、かえって弱くなっちゃったみたいな?
【おぎぬまX】そうですね(笑)。もちろん、芸人時代に得たものはたくさんあるので、今振り返ると全然失敗じゃなかったのですが。もともと漫画家が夢で、ある意味“妥協”してお笑い芸人をやっているという“いびつな人生”だったので、26歳のときに、「もう遠回りしないで目指している夢で死にたい!もう逃げないぞ!」と漫画家として再起することを誓い、お笑い芸人を辞めました。
あ…ちなみに今年の3月に、売れない芸人が主人公である『地下芸人』(集英社文庫)という小説が、集英社のジャンプ小説新人賞の銀賞をいただき、10月21日に発売しました。僕が小説家としてデビューできたのは、売れない芸人時代があったからです。あのときの日々に心から感謝しております。ということで、皆様もぜひ、僕の小説家としてのデビュー作、お買い上げくださいませ。
――突然の告知(笑)!
※第3回に続く
■プロフィール
【おぎぬまX】1988年生まれの32歳、東京都町田市出身。
【受賞歴】
・2019年12月:第91回赤塚賞入選「だるまさんがころんだ時空伝」
・2019年12月:第22回にいがた漫画大賞『一般部門 コママンガの部』奨励賞「おぎぬまX 4コマワークス」
・2020年3月:ジャンプ小説新人賞2019『小説フリー部門』銀賞「地下芸人」
画像提供:おぎぬまX(@oginuma_x)
【漫画】4コマ漫画界の鬼才・おぎぬまXが“ピン芸人”に挑戦したワケ「“急がば回れ”が大失敗」

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