トランプ政権は規制緩和の方向! いま注目されるアメリカのクルマの燃費規制「CAFE」とは

CAFEはアメリカで生まれた燃費規制

 CAFE(カフェ)という言葉を聞いたことがあるだろうか?

 企業別平均燃費の頭文字をとって、そう呼ばれている。自動車メーカーそれぞれが生産しているクルマの燃費を平均値として、政府が定める規制値を越えなければならないという連邦政府の環境局による規制である。

 アメリカでCAFEが検討され始めたのは、1970年代に入ってからだ。60年代までのアメリカは、排気量が6リッターや7リッターのV型8気筒を搭載する大型車が市場の主流だった。ボディサイズがより大きく、エンジンサイズもより大きく、エクステリアとインテリアはよりゴージャスに、またはスポーティに。ユーザーのニーズが、クルマの大型化に偏向していた。

 ところが、60年代後半から全米各地で排気ガスによる大気汚染が深刻化した。状況を改善するため、連邦議会のマスキー上院議員が提案した、通称マスキー法(大気浄化法改正案)が1970年に施行された。これにより、アメ車が一気に小型化へと進む。さら70年代はオイルショックも重なり、省燃費がアメ車にとって必須になった。

 省燃費を明確に規定するため、1978年に導入されたのがCAFEだ。

トランプ大統領はZEV規制の撤廃とCAFE規制の緩和を目指す

 80年代から2000年代、CAFEは段階的に強化されていった。そうしたなかで、大きな節目を迎えたのが2012年。当時、オバマ政権は再生可能エネルギーによるアメリカ企業の競争力強化と、海外からの投資を目的として、グリーンニューディール政策を打ち出した。その一環として、CAFEを一気に強化するとした。

 具体的には2025年までに、1ガロンあたり平均54.5マイル(リッター当たり23.2km)という厳しい目標値が定められた。そのため、自動車メーカー各社はハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の拡充など躍起になった。

 当時、日系自動車メーカーのエンジン開発者の多くが「アメリカのCAFE、それから今後強化が予想される欧州のCO2規制をクリアすることは極めて難しい」との認識を持っていた。ところが、トランプ政権が誕生すると、オバマ政権が推奨してきたさまざな施策を転換するという動きが始まった。

 そのひとつが、CAFEの緩和と、連邦政府による燃費関連規制の一本化だ。アメリカではカリフォルニア州が発案し、1990年から施行されているZEV(ゼロエミッションビークル)規制がある。EVなど電動車の、事実上の台数規制(正確にはクレジット制)だ。世界の自動車メーカーが「ZEVありき」でEV開発を強いられてきた歴史がある。

 現状、アメリカには連邦政府の環境局EPAによるCAFE規制と、カリフォルニア州政府の環境局が主体のZEV規制という、燃費規制のダブルスタンダード状態にある。トランプ政権は2018年4月、EPAの声明として正式にオバマ政権でのCAFE規制目標値の撤回と、ZEV法の事実上の廃止による連邦政府による燃費規制の一本化を目指すと発表した。

 2020年は大統領選挙であり、さらに現時点では新型コロナウイルス感染がアメリカ経済に大きな打撃を与えている。そのため、新たなるCAFEに対する議論の詳細が表には出てきていない。まずは、次期大統領が決まる2020年11月を待つしかないようだ。