登場するや否や大人気! 「売れすぎ」トヨタ新型ハリアーの数少ない「死角」とは

新型ハリアーは高級サルーンとも言えるキャラクターとなった

 RAV4、ハイランダー(北米向け)に続く、トヨタ最新のGA-Kプラットフォームを使う都会派クロスオーバーモデルが、初代から日本で絶大なる人気を誇る新型ハリアーだ。都会の道や高級ホテルのエントランスさえ似合うエクステリアデザインの高級感溢れるスタイリッシュさ、トヨタの高級サルーンを思わせる上質感に満ちた室内空間、主力のHV FF車で、実燃費に近いWLTCモードで22.3km/Lというクロスオーバーモデルとしては飛びぬけた燃費性能、そして、トヨタ初の音声で「空を見たい」とボイスコントロールに発声すれば、調光・透過を一瞬にして切り替えられる調光ガラスルーフ、前後方向録画機能付きのデジタルインナーミラー、まるでノートパソコンが目の前にあるような12.3インチの大型ワイドディスプレイ(純正ナビ)、さらには最新のトヨタセーフティセンスなどの装備を用意し、まさに新しさ満載の新型ハリアーなのである。

 振り返れば、先代RAV4は、同じプラットフォームを使うハリアーとの自社内競合を避け、日本では発売されなかった。キャラクターがかぶっていたのがその理由のひとつだが、現行型の5代目RAV4が、アドベンチャーグレードに代表されるように、オフロード色、クロスカントリー色を強めた結果、都会派クロスオーバーモデルの新型ハリアーと共存することが可能になったのだ。

 そう、新型ハリアーは、SUVというより、背の高いクーペシルエットを持つ、トヨタの高級サルーンと言ってもいいキャラクターに突き進んだのである。それを象徴するのが、リヤボディのスタイリッシュな絞り込み。SUVはアウトドアなどで使う大きな荷物を余裕で積みこめる荷室を持つのが当たり前だが、新型ハリアーの場合、ズバリ、荷室容量を重要視していない。

 具体的に荷室容量の数値を示すと、先代ハリアーが456リットルのところ、新型は409リットルに減少(カタログには記載なし!!)。RAV4が580リットル(デッキボード下の数値/上にすると540リットル)、CR-V 561リットル(5人乗り)、エクストレイル565リットル、フォレスター520リットルと比較すれば、日常的な荷物の積載に困ることはまったくない荷室寸法ながら(後席使用時の奥行約975mm、幅最大1240mm、最低天井高700mm)、荷物の積載能力にこだわったクロスオーバーモデルとは言い難い。使い勝手面での数少ない死角があるとすれば、そこである。もっとわかりやすく言えば、先代はゴルフバッグ4セット積載可能だったものが、3セット積載可能にとどまる(4人が1台のクルマでゴルフに行くことはまずないだろうが)。

 ガソリン車とHVの2種類のパワートレインを持つのは当然として、RAV4のアドベンチャーグレードに用意される、オンロードの曲がりやすさはもちろん、悪路走破性を飛躍的に高めるダイナミックトルクベクタリングコントロールを採用していないのも、最低天井高190〜195mmを確保しつつも(RAV4 200mm、CR-V 190〜200mm、エクストレイル205mm、フォレスター220mm!!)、オンロードメインのクロスオーバーモデルとしての位置づけを明確にしているのである。

モデルによる走りの差が大きい!

 そう、走行性能面での死角があるとすれば、極悪路走行が想定できる。ダイナミックトルクベクタリングコントロールを持つRAV4アドベンチャーグレードや、Xモードを備え、最低地上高220mmを誇るフォレスター、遊び心やマリンスポーツに応える機能、装備満載のエクストレイルに敵わないところが挙げられる。とはいえ、新型ハリアーでもダートや雪道程度なら、クロスオーバーモデルならではの走破性を発揮してくれることはもちろんだ。

 実際にガソリン車のFF、19インチタイヤ装着車のZレザーパッケージ、HVのFF、19インチタイヤ装着車のZ、同 4WD、18インチタイヤ装着車のGに試乗した経験からすれば、そのなかに決定打と言えるモデルを見いだせなかったのも本当だ。ガソリン車のZレザーパッケージは乗り心地面ではサルーン的で素晴らしく快適で、軽快感たっぷりの操縦性を持つものの、高級車としてはエンジンの室内への透過音が気になり、HVのZは19インチタイヤによる乗り心地が硬すぎる印象で、新型ハリアーにトヨタの高級サルーン的乗り心地を過大に期待すると裏切られるかもしれない(タイトな乗り心地を好むならOK)。

 また、HVのGは専用開発ではない18インチタイヤのロードノイズが、粒の荒いアスファルト限定ながら、大きめに車内に侵入し、これまた、新型ハリアーの売りひとつとなる、車内のトヨタの高級サルーン的静粛性のレベルには達していない印象だった。ロードノイズの小ささでは、19インチが上まわるのである。

 つまり、HVとガソリン車、タイヤサイズ、駆動方式によって走行性能の印象が変わりやすい点も、気になる人は気になるウィークポイントになるかもしれない。もちろん、他車でもパワーユニット、駆動方式、タイヤサイズで乗り味の印象が異なることはあるのだが、その違いの幅がちょっぴり広いのが、新型ハリアーと言えそうだ。

 ちなみに、RAV4ではダッシュボード上面までソフトパッドを使用しているが、意外や意外、新型ハリアーのダッシュボード上面はカチカチの樹脂(シボフィルムは巻いてある)。そこは、RAV4と逆なのでは? と思えてしまったりする。エクステリアデザイン、インテリアデザイン、そして先進装備の面で、新型ハリアーが都会派クロスオーバーという土俵の上、ライトなアウトドアを含む日常使いでは、新しさを含め、商品力として圧倒有利なのは間違いない。が、もし、より本格的なSUV性能、使い勝手、走破性を望むなら、RAV4を始めとする、クロスカントリーモデルとしてのキャラクターを持つ他車を視野に入れるべきではある。

 個人的な勝手な見解だが、ロードノイズの小さい19インチタイヤ装着車を前提に考えると、FFに対して車重が60kg増しになり、19インチタイヤでも、新型ハリアーの狙い通りのしっとりとした乗り心地を生みそうな、装備的にも大満足必至のHVのZ 4WDグレードが大いに気になるところだ。