2020年1月の放送開始から、さまざまな意味で話題となったTVアニメ『異種族レビュアーズ』。ニコニコ静画『ドラドラしゃーぷ#』で連載中の、異世界の冒険者たちがスケベなお店をレビューし続けるという挑戦的なマンガをどんな思いでアニメとして再構築したのか、制作を終えたばかりの小川優樹監督に語ってもらいました。後編ではムフフなシーンを中心に、前編以上にディープな話をお届けします。

――アニメの無修正バージョンを拝見しましたが、乳首の描写がいいですね。

小川 あれはキャラクターデザイナーのうのまことさんのこだわりです。全キャラクター、裸の設定も作って乳首もそれぞれに変えていました。

――たとえばどんな違いがあるのでしょうか?

小川 うのさんは「ミノタウロスのミルキーたちは、胸がでかいぶん乳輪もでかいんだ」と仰っていました。だからトップスから乳輪がはみ出ているんだと。原作ではそんなことないし、おかげで普通のシーンでもモザイクを入れることになったんですけど(笑)。そんな彼女たちに比べて、メイドリーなんかはそこまで乳輪はでかくない。

――メイドリーの乳首、水浴びシーンで見られたと思うので確認してみます。

宣伝担当 (キャラクター設定を見せつつ)メイドリーだとこんな乳首ですね。

――おお〜、なるほど。乳首の設定も細かい。この作品は乳首の先にある凹みまできちんと描写しているのがいいですよね。

小川 僕は、乳首の下にハイライトを入れているのは初めて見ました。上にハイライトがあるのは見たことあったんですけど。うのさんによると「これは下からの照り返し」だそうです。

――ちなみにこの嬉しいキャラクター設定も、Blu-rayやDVDのブックレットに掲載されるそうですね?

小川 Blu-rayやDVDにはサントラも付くし、うのさんが「気になる箇所はすべて直す」と言っていたので、そこも注目してほしいです。

――『異種族レビュアーズ』の作画は、全体的にかわいく崩れていない印象でしたが。

小川 3話まではうのさんもちゃんと監修されていたんですけど、4話辺りから監修できる数が絞られていったので「気になる箇所がいっぱいある」「顔のアップや裸は修正を入れたい」と言っていました。だから映像はTV版よりさらによくなると思います。

――期待します。乳首以外にうのさんがこだわっていたパーツはありますか?

小川 手ですね。原作の手って普通のマンガより大きく描かれているんですよ。それに沿ってアニメでも大きめになっているし、設定でも手を上げていたり、少し伸ばしたり、爪のアップの設定があったりとキャラクターごとに違いがありました。だからうのさんに作監修正をお願いしたら顔より手が直ってくることも多かったです。

――なるほど。では監督のエロシーンでのこだわりは?

小川 「TVで観たことがないエロシーンをやりたい」と思っていました。普通は放送できないようなシーンばかりですが、それだけに、これまでTVで観られなかったような絵を見せできたかなと満足しています。

――お気に入りのエロシーンは?

小川 3話の性転換の話です。「どこまで放送できるかわからないけど全力でいこう」とスタートから情事、事後までじっくり表現できたので、あれは自信を持って観てほしいと言えます。

――3話は、絵コンテが監督と西川貴史さんの連名ですね。

小川 西川さんは自分が前にいた会社の先輩なんですけど、18禁アニメの監督をいろいろされている方なんです。だから直接会いにいって「過激なエロシーンを描いてほしい」とお願いしました。なので3話のエロシーンは本場の映像になっています。

――それはありがたいです。それでは、監督のオキニの嬢は誰ですか?

小川 エルザとミツエが好きです。エルザは単純にかっこいいし、クリムの相手なので登場回数が多く、特徴付けやこだわりを散りばめられたので。ミツエは原作だと最初のほうに出るモブキャラですが、アニメでは少し出し過ぎちゃったかもしれません。

――エンディング後に冠コーナーまで持っていますしね。

小川 あのコーナーを作った分、本編で出てくる回数がほかのキャラクターと同じでも登場回数が多くなるんですよ。ただ出てくるシーンでは、ぶりっ子っぽいかわいらしさを出せたかな、と思います。

――そのミツエは、原作の最近のすごくいい話(第38話)でフィーチャーされました。

小川 そうなんですよ、あの話のおかげで改めてアニメを観るときにミツエがいっぱい出てきて感動してもらえる(笑)。

――あの話はアニメ制作側と話して作られていたのでしょうか?

小川 いえ、原作者さんとお話したときはそんなこと仰っていなかったので、僕たちは知りませんでした。おかげで、読んで普通に感動しました。

宣伝 原作者の天原先生は「ある意味(アニメの)逆輸入かもしれない」とツイートされていましたね。

――そうだったんですね。続いてメインキャスト3人の印象を伺わせてください。

小川 今回、その3人だけでなくレギュラーモブ辺りまで、オーディションではなくメインスタッフで決めた人たちを指名させてもらったんです。すると全員OKだったので、こちらのイメージに合った完璧な布陣になりました。

――キャストの話では、やはり女性ながら堂々とクリムを演じた富田美憂さんに触れざるを得ません。ゲスト出演されたラジオを聴いたところすごくカラッとしていて、「家族が観ている」と仰っていて驚きました。

小川 「お父さんも観ている」と言っていましたよね(笑)。僕も、親にはこの作品の監督をしていることを言っていませんし……ただ女性だとどうしてもエロシーンとか恥ずかしくなるかなと心配していたんですけど、現場で「もう少し喘いでる声にしてほしい」なんてオーダーにも「わかりました」とすぐに対応してくれて、プロとして真剣に演じてくれてありがたかったです。

――スタンク役の間島淳司さんとゼル役の小林裕介さんの印象はいかがですか?

小川 声はイメージ通りでもちろんよかったんですけど、アドリブが素晴らしかったです。酒場がメインの舞台なので、ほかのキャラクターが喋っているときに、うしろでスタンクたちにも喋っていてほしいんですよ。それでお願いしたら、「このあとどこ行く?」など即興で上手く会話してくれて助かりました。

――レギュラーモブまで指名したということですが、みなさんでサキュ嬢のキャストも選ばれたのでしょうか?

小川 サキュ嬢に関しては、前半のアロエやエルマ辺りまでは僕も一緒に選びました。でも後半はほかの作業で手一杯になったので音響監督に一任しました。それでもキャラクターに合った声の方々を選んでもらえました。

――印象的な方はいますか?

小川 みなさんよかったですが、パッと思いついたのはアロエ役の日笠陽子さんです。前作の『みるタイツ』でも出演していただき、声を色々と変えられる方だとはわかっていたので。アロエの「少しやさぐれているけどお姉さんっぽい」という難しいオーダーに応えてくれました。

――なるほど。では最後に、監督自身が本作品のレビューをお願いします。

小川 ……悩みますね。僕はこれまで5分アニメや単発の30分アニメの監督はやったことがありましたが、1クール30分の作品の監督をしたのは『異種族レビュアーズ』が初めてだったんです。おかげで物量が違いすぎて泊まり込みの連続でした(笑)。ただ、クオリティ面では最後まで粘って納得いくところまで追求できたので……今回は9点でお願いします。まだアニメ化できていない原作があるので、それらをアニメ化して視聴者の反応がよかったら10点をつけたいですね。

――監督はアニメの放送終了のタイミングでもご自身のTwitterアカウントで「もっとやりたかったな」とつぶやかれていましたが、やはり続きをやりたいんですね。

小川 はい、先ほど話したミツエの話も、アニメでやった話のあとに始まる天使の話、あと結婚の話も……そういった面白いエピソードがまだあるので、いつか続編をやりたいです。(WebNewtype・【取材・文=はるのおと】)