いよいよ「過去編」もクライマックス。世界の謎がついに明かされる、TVアニメ「プランダラ」。Web Newtypeのリレーインタビューでは今回、シリーズ構成の鈴木雅詞さんに、この作品に込めた想いを伺いました。

――「プランダラ」の原作をお読みになったときの印象をお聞かせください。

鈴木 正統派のヒロイックファンタジーとしておもしろい作品だなと思っていました。水無月(すう)先生の作品は伏線が張りめぐらされているので、それがパズルのように組み合わさっていくことに一番おもしろみがあるんだろうなと感じています。ただ、僕らにはどこが伏線になっているのかがわからないんですよ。一見アニメでは描かなくていいんじゃないかというところがあったとしても、あとの物語で重要なところにつながることがある。本読み(シナリオ打ち合わせ)の現場で「このセリフってどんな意味があるのかな?」とみんなで議論して、「きっと回収される伏線だよね」という話をしたところもありました。原作からシナリオ化するときに、そういう伏線を落としてしまうと、後から苦労することがある。そこは連載中の作品をアニメ化する難しさでしたね。

――本作の主人公・リヒトー=バッハにはどんな印象を抱かれていましたか?

鈴木 抱えているもの、背負っているものがたくさんある人物だと思います。みんなの中心にいるような魅力をもっているムードメーカーでコメディリリーフですよね。でも、自分のまわりにいる人たちのことを思うあまりに、その背負っているものを表に出そうとしない。彼が背負っているものは大きいけれど、書くときはなるべく深刻にならないように気をつけていました。

――前半のリヒトーは謎が多いキャラクターとして登場します。第1話、第2話の脚本を書くうえで意識したことはどんなことでしたか?

鈴木 第1話、第2話の段階では基本、リヒトーの素顔を見せていません。彼の背負っているものは大きいけれど、困っている人を見捨てられない。それで第1話で陽菜を助けてしまうんですよね。自分の信念に反していても、人を助けてしまう。助けちゃいけないけれど、気持ちを優先してしまうんです。そういった彼の複雑なところを書いていきたいなと思っていました。

――陽菜というヒロインをどのような女の子として書きましたか?

鈴木 陽菜はシナリオを書くうえで、一番難しいキャラクターだったと思います。リィンやナナは自分の気持ちに従って動くんですけど、前半の陽菜は事件に巻き込まれて、事件の輪の外から第三者的なリアクションをすることが多かったんですよね。そこで、前半は陽菜をかわいく書くことに徹していました。ターニングポイントになったのは第7話でしたね。原作では「過去編」で陽菜がサバイバル能力を発揮するんですが、その能力を第7話で描くことにしたんです。第7話のお料理バトルの材料を集めるシーンで、陽菜のサバイバル能力の高さを見せたことで、ようやくキャラクターとして動かすことができたなと。けなげないい子だと思っていた陽菜が、実はすごいサバイバル能力をもっているということを明かすことで、破天荒な一面があるんだと見せることができた。そこで、ようやく陽菜をアクティブなヒロインとして書くことができたなと思います。

――第7話はアニメオリジナルのコメディ回でした。このエピソードはどのようにできあがっていったのでしょうか。

鈴木 もともと水無月先生からアイデアをいただいて、オリジナル回をつくろうという話になっていました。そうしたら、水無月先生からほぼプロットのような内容をいただいたんです。その内容は「落ち込んだリヒトーを励ますために、陽菜が一生懸命お料理をする」というハートウォーミングな内容で。そこから「お料理をする」というアイデアをいただきつつ、リィンとのお料理バトルという方向にまとめていきました。リィンと陽菜が仲良くなる過程として、このバトルを通じて2人の友情が深まるような展開にしたんです。

――ジェイルはいかがでしたか。

鈴木 ジェイルは一番動かしやすいキャラクターでした。ジェイルはツッコミキャラなので、ツッコミが動くと物語も動くんです。そのうえ、ジェイルはボケもできる。だから、彼が動き始めると、物語も動くんです。なおかつ、彼は信念のもとに行動しているので、芯が一本通っていて、ブレない。僕だけじゃなくて、他の各話ライターさんも書きやすいキャラクターだったんじゃないかと思います。ジェイルのエピソードは各話ライターさんが担当することも多く、「こんなに信念を連発していいんですか?」と言われましたが、「いいんです(きっぱり)」とお伝えしていましたね。そこがジェイルのいいところなんです。Blu-ray特典のドラマCDでは、それを逆手にとって、「信念」をギャグに使うという見せ方までしています。

――リィンとペレは書いてみて、どんなおもしろさがありましたか。

鈴木 リィンは元気いっぱいのキャラクターですごく書きやすかったです。素直な子なので、本当は誰が好きなんだ? と気になりましたね。もちろんリヒトーのことが一番好きなんでしょうけど、ペレにも心を動かしているし、ジェイルにも優しくされると心を動かしてしまう。誰とカップリングさせてあげたらいいのかわからない。そこだけが難しかったですね。ペレは何を考えているのかわからない。僕としては「腹黒キャラ」にしようと。ツッコミキャラとして考えていました。

――第12話から「過去編」がはじまります。「過去編」で描かれる300年後の世界をどんな世界として書こうと思っていましたか。

鈴木 食糧不足と貧困、混乱の世界ですよね。本読みのときに監督たちと世界観を考えたんです。住宅街と学校の間には境界線があって、学校の中には食糧があるけど、そこ以外には食糧が配給されていない……。アニメでははっきりと描かれていませんが、監視塔があって、フェンスが張りめぐらされていて、その先には地雷原があるかもしれない。でも、そういう殺伐とした世界をあまり強調すると、学校の中でワイワイキャーキャーやっていることが不謹慎になりかねない。あくまで外の世界は無法地帯なのかもしれないけど、そこは描かないようにしようと考えていました。生徒たちは「うちの妹が病気で」「うちのおばあちゃんが食糧不足で」といった背景をもっていますが、自分たちが学校に来ることで家族がご飯を食べられるようになると信じている。おそらく政府はそう約束してくれたんでしょうね。もちろんその約束を叶えてくれたのかどうかは別の話ですが、その約束があるから、学校生活を普通に送れるんだろうなと考えていました。

――第13特設軍学校1年A組の生徒の中で筆が乗ったキャラクターは誰でしたか。

鈴木 女の子たちは動かしやすかったですね。当初は名前のないキャラクターもいたんですが、水無月先生がどんどん名前を付けてくださって、シナリオ作業中に名前が付いたキャラクターが増えていきました。離人にお風呂を覗かれるのも女の子ですから、とにかく女の子は描きやすかったです。

――離人をどんな人物として書いていますか?

鈴木 水無月先生の原作では、離人とリヒトーを分けて描いているんです。でも、離人はリヒトーの原型になる人物ですから、僕はシナリオでリヒトーとなるべく重なるように書いています。第1話のころのリヒトーは「ギャグキャラを演じている」のですが、「過去編」の離人は「自分の本能のままに動いている」。なるべく等身大に書くことを意識していました。前半に登場したリヒトーは、「過去」を背負っている男ですが、「過去編」に登場する離人は「仲間たちの想い」を背負うことができる少年。みんなが困っている時に、自分からギャグをすることで、みんなを和ませようとしているんです。そういう一面は未来のリヒトーに同じく重なるところがあると思っています。

――原作は現在も連載中ですが、アニメとしてはどのようなクライマックスにしたいと思っていますか。

鈴木 第2クールの後半は原作よりもリヒトーや陽菜が追い詰められる展開になると思いますし、それぞれの命の危機だけでなく、心に斬り込んでくるようなシーンが増えていきます。戦闘中にドラマが動く、バトル芝居が多くなっていくので、キャストの皆さんの魂を振り絞った叫びで盛り上がっていくんじゃないかと思います。クライマックスに語られるキャラクターたちの運命と、キャストの皆さんのお芝居を楽しんでもらえるとうれしいです。(WebNewtype・【取材・文:志田英邦】)