欧州の混乱とトランプの米国第一主義、世界は混迷の時代へ

欧州の混乱とトランプの米国第一主義、世界は混迷の時代へ

 12月13日付のProject Syndicateのサイトで、米外交問題評議会のリチャード・ハース会長が、欧州の混乱について、米国の助けが当てにできない以上、欧州は自力で対処する他ないと述べているので、以下に紹介する。

 欧州が混乱している。パリの一部は炎上し、英国は、Brexit に疲労し分断されている。イタリアは、EUの予算ルールに抵抗する厄介な左派・右派連立政権である。ドイツは政治的再編と格闘している。ハンガリーとポーランドは非自由主義的政権を擁している。

 フランスと欧州中の極右が、第二次大戦後の政治的秩序を脅かすために経済的・文化的ポピュリズムを利用している。イタリアの左右ポピュリスト連立はまさにそれである。英国とEUとの関係は、亀裂が入ったままであろう。一方、プーチンがウクライナ等への攻撃で満足するか、全く定かではない。さらに、不平等、暴力、気候変動が悪化している世界にあって、移民による圧力は増大するだろう。グローバルな競争が強まり、多くの職を奪う新技術が 生まれている世界において、経済的再編は不可避であろう。

 欧州の民主主義、繁栄、平和の将来は、不確実になってきている。こうした展開は、単一の理由では説明できない。フランスのデモは新税を拒否する左派のポピュリズムである。これは、欧州中で極右の台頭を促している要因とは異なる。EUはあまりに官僚的でエリートによる指導が続き過ぎた。一方、ロシアによる新たな侵略は、プーチンが更なる行動で失うものはないと判断したことを反映しているのかもしれない。    

 欧州は、民主国家の最大の集合体である。20世紀、欧州大陸の秩序崩壊のコストが一度ならず示された。欧州の混乱を説明できる理由は一つではないのだから、答えも一つではない。しかし、助けになる政策は存在する。安全保障、人権、経済的競争力とバランスの取れた包括的な移民戦略は、そうした政策の一つである。どれだけのお金が必要かに焦点を当てた防衛政策は、欧州の安全保障を強化する。さらに、NATOとウクライナの防衛強化により、抑止力を高めるべきである。欧州がロシアの天然ガスから離れること、すなわちノルドストリーム2計画を止めることは、意味がある。そして、グローバル化とオートメーション化で職が失われる労働者を再訓練することが必要である。

 これらの政策課題の多くは、米国の関与と支援があれば有益である。米国が EUを敵視しNATOをタダ乗りするものと見るのを止めれば、助けになる。欧州には、ロシアの侵略抑止、グローバルな貿易・投資の枠組みへの西側の利益に沿った形での中国の取り込み、気候変動の軽減、サイ バー空間のルール作り等について米国と協働する用意のある国々がある。しかし、こうしたアプローチは、近い将来トランプからは出てきそうにない。欧州は、自力で混乱と戦うしかない。

出典:Richard N. Haass,‘Europe in Disarray’,(Project Syndicate, December 13, 2018)
https://www.project-syndicate.org/commentary/growing-threats-to-europe-democracy-security-by-richard-n--haass-2018-12


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