ロボットがロボットを殺す、新時代の出来事

ロボットがロボットを殺す、新時代の出来事

 今年のCESで自律型のビジネスアシストロボットとして展示されたプロモボット。ペンシルバニア州のプロモボット社がアジアと欧州に開発センターを持ち製作しているもので、現在世界26の国で実際に導入されている。

 このプロモボットがCES2019に搬入されている最中にテスラの無人走行車両に「轢き殺される」という事故が起きた。テスラは自動運転走行の実験中だったと見られるが、ロボットと接触したことに全く気付かぬように走り去る場面が録画されている。

 プロモボットのチームは会場にボットを搬送する途中で、1台のボットが車道に置かれていた。そこを通りかかったテスラと接触して転倒したのだが、人間に例えれば飛び出しと前方不注意運転が重なった不幸な事故、といったところだろうか。

 この事故の興味深い点は事故の加害者、被害者が共に自律運転されていた、つまり全くのロボット同士による世界初の事故例だった、ということだ。もっとも映像を見る限りプロモボットは事故の時点では動いておらず、車道の端に立っていただけ。テスラのオートパイロットがプロモボットを障害物として認識せずブレーキを全くかけていないように見える。

 テスラのオートパイロットについてはこれまでも道端に停止している車両(例えば配送業社のトラックだったり救急車のような緊急車両など)を認識せずに物損事故を起こす、という事例が報告されている。今回はその対象が道端のロボットだった、ということなのだが、結果として前代未聞のロボットがロボットを殺す、という事例となってしまった。

 この事故に対しテスラ側からは特に声明が出されていない。しかしプロモボットはこの事故をニュースリリースとして流し、さらには翌日に行われたロボットが「死亡」した現場での「世界初のロボットのための追悼サービス」の模様もユーチューブで流した。結果としてプロモボットにとっては大きな宣伝につながった面もある。

 プロモボットはショッピングコンサルタント、ミュージアムなどでのガイド、企業の受付などに利用されている。また顔の部分がデジタル表示で表情を表しており、「感情を表すロボット」としても知られている。さらにはダンスを踊って観客を楽しませることもできるという。これまでもCESのような大規模コンフェレンスに貸し出され、会場のアシストなどを行ってきた。

 今回の事故が投げかけるのは、今後こうしたロボット対ロボットの事故が増えるのではないか、という疑問だ。それは自動運転車両同士の衝突かもしれないし、倉庫など複数の運搬ロボットが使用される場所でのロボット同士の衝突かもしれない。

 テスラのオートパイロットの弱点である「停止している無機物の認識が弱い」は他のロボットにも共通する点かもしれない。相手が人間であれば熱感知などで存在を認識できるが、動くべき場所で停止している機械その他への認識が遅れ、こうした事故につながる。

 また今回のような交通事故に対し、保険会社はどう対応すべきなのか。車道に出ていたプロモボット側にも自己責任が加算されるのか、あるいは停止物にぶつかったテスラの100%引責となるのか。今回の事故でテスラがプロモボットに対しロボット代金の補償を行うのか、対物事故として処理されるのか、など問題点は多い。

 プロモボット側にすれば追悼サービスまで行うほど、「単なるロボットではなく感情を表し人の手助けをする存在」という思い入れがある。しかしロボットはあくまで「物」であり、今回のような事故が対人となる可能性はない。

 しかし今後ロボットがますます実社会に導入されるようになれば、こうした事故も増加するだろう。ロボットのオペレーションにあたっては当然保険が掛けられることになるが、車でなくても対人対物、「死亡補償」などが必要となってくるかもしれない。世界初のロボットがロボットを「轢き殺した」事故は、我々の未来に新たな疑問を投げかけることになった。

プーチン大統領と会うプロモボット

  
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