トランプ氏に新たな疑惑浮上、本格的な政治戦争始まる

トランプ氏に新たな疑惑浮上、本格的な政治戦争始まる

 トランプ米大統領にロシア関連で新たな2つの疑惑が浮上した。1つは大統領がロシアに内通していたという“スパイ“疑惑。もう1つはプーチン大統領との会談メモを通訳から取り上げるなどした「隠ぺい」疑惑だ。メキシコ国境の壁建設予算をめぐって野党と全面対立する中、大統領の窮地はさらに深まった。

現職大統領は“モグラ”

 内通疑惑を最初に報じたのは1月11日付のニューヨーク・タイムズだ。それによると、連邦捜査局(FBI)やロシアゲートを捜査しているモラー特別検察官が、トランプ氏が米国益に反してロシア側のために働いているのではないか、という疑いで捜査をした。現職の大統領が敵性国のいわば“モグラ”(潜入スパイ)ではないかとの疑惑はそれだけで極めてショッキングだ。

 捜査が始まったのは2017年5月に大統領が当時のコミーFBI長官を解任した直後。大統領はコミー氏に対し、ロシアゲートで大統領補佐官を辞任したマイケル・フリン氏への捜査に手心を加えるよう求めたとされる。この行為は「司法妨害」に当たると受け止められているが、コミー氏はその後、長官として不手際があったとの理由で解任された。

 しかし、FBIはトランプ氏が自覚のないままにロシアに利用されている可能性も含め、国家安全保障上の脅威になる恐れがあるとして捜査した。捜査はモラー氏に引き継がれたと見られているが、現在も行われているかどうかは不明。民主党のシューマー院内総務はコミー氏解任について、大統領がロシアのプーチン大統領に弱みを握られているからではないかとの懸念を表明していた。

 もう1つのプーチン大統領との会談内容を「隠ぺい」しているという疑惑を報じたのは13日付のワシントン・ポストだ。同紙によると、トランプ大統領は就任以来、プーチン大統領とは5回会っているが、通訳がメモを取り上げられたのは2017年7月のハンブルグでの米ロ首脳会談の際の記録である。

 この時の会談には、ティラーソン国務長官(当時)が同席していたが、トランプ大統領は通訳からメモを取り上げた上、会談内容を米政権内部の当局者に漏らさないよう口止めした。当局者が通訳から聴取したところによると、プーチン大統領は会談の中で、ロシアが2016年の米大統領選へ介入したという疑惑を否定。トランプ大統領がこれに対し「あなたを信じる」と述べていた。

 しかし、大統領はその後の首脳会談では、側近を交えずに2人だけの会談に限定した。驚くべきことに、機密文書として指定されたものも含め、プーチン氏との会談のやり取りや記録類は一切残されていない、という。

 2018年7月のヘルシンキでの首脳会談は通訳だけを交えた2時間の会談になったが、会談後の記者会見でトランプ氏はロシアゲートについて、米情報機関が正式にロシアの介入があったと結論付けているにもかかわらず、プーチン氏が否定したことを強調。自国の情報機関よりも敵性国の指導者を信頼しているような発言をし、物議をかもした。

 しかし、実際に2人が何を話したかは分かっていない。同紙によると、この時の通訳はマリナ・グロス氏という女性だった。首脳会談に詳しい元当局者は「記録が残っていないというのは、歴史的に異例のことだけではなく、言語道断と言わざるを得ない。密室でプーチン氏に利用される危険性がある」と指摘している。


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