日本では、イギリス政府が雇用されている人に対して最大月2,500ポンド(約32万円)までの賃金を保障するという対策が大変話題になっていますが、イギリスではこれが不公平だと大変な不評です。

特にIT業界では、怒りを持って受け止められています。

この支援は、雇用されてる人の80%までの賃金を政府が保証するというものですが、雇用されている人に限ります。

ところがイギリスの場合は、ここ20年ばかりは会社員ではなく、一人親方、つまりフリーランスで独立コンサルタントや技術者として働く人が激増しており、今や全雇用者の15%、500万人あまりに及びます。高度技能者が多くイギリスの産業にとってかなり重要な人々が、この支援策には含まれません。

特に、プロジェクトベースの仕事が多いIT業界ではフリーランサーが多いのですが、コロナ騒ぎで倒産したり業務縮小する企業が増えるのが目に見えているので、多くが失業します。経済全体が落ち込むので、再雇用や新たなクライアントを探すのは容易ではありません。

雇用されていて年25,000ポンド(約320万円)の給料の人が、政府に20,000ポンド(264万円)を保証される一方で、フリーランスや一人親方の人が年に5,000ポンド(約66万円)程度の傷病手当と税金支払の猶予しか与えられないのは恐ろしく不公平だ、という苦情が出ているわけです。

傷病手当も、従来は4日以上の病気だと出たものが1日以上でOKになっただけで、金額は変わりません。

新型肺炎に感染した人や疑いがある人は、自主隔離で仕事ができません。スーパーに食料がないので買い出しも困難で、安静どころではありません。入院する人でも、月にたった5万5千円しか出ないのです。

これで、どうやって光熱費を払ったり住宅ローンを返せというのか、と激怒している人が多いのです。

これが、日本のリベラルな人々が絶賛する「福祉国家」イギリスの実態です。

日本では素晴らしい策という評価の今回の対策ですが、イギリスが知識産業中心で高度技能者が多いこと、さらに、フリーランスの割合が大きいことを考えると、よく考え抜かれた政策とはいえません。

IT業界にとっては、大打撃でしょう。