「チャンネルはそのまま!」ドラマ成功の理由 「水どう」藤村・嬉野ディレクターが求めた「テレビの魅力」

「チャンネルはそのまま!」ドラマ成功の理由 「水どう」藤村・嬉野ディレクターが求めた「テレビの魅力」

11月、北海道テレビ(HTB)が手がけたテレビドラマ「チャンネルはそのまま!」が、「2019年日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリ」を獲得しました。ドラマには、同じHTBの人気番組「水曜どうでしょう」(水どう)の出演者をはじめ、おなじみのディレクター陣も参加しています。「東京の周縁に地方がある」という刷り込みに異を唱える嬉野雅道さん。一方の藤村忠寿さんは「地方局が作るドラマという意味合いを払拭(ふっしょく)したかった」と語ります。ディレクター二人の言葉から、「チャンネルはそのまま!」や「水どう」が成功した理由、そこから見えるテレビの価値について考えます。(withnews編集部・奥山晶二郎)

HTBがモデルの原作

筆者は、今年6月に渋谷ヒカリエであったイベントで、藤村さんと嬉野さんに「チャンネルはそのまま!」への思いを尋ねました。佐々木倫子さん原作のドラマの舞台は、HTBがモデルになった北海道の地方局です。芳根京子さん演じる雪丸花子という「ちょっと浮いた」存在の新入社員が、同期や上司、ライバル局まで巻き込んで、仕事や人生の大切なものを気づかせていきます。

ドラマでは、東京と地方の上下関係にも見える微妙な雰囲気も描かれています。その時、登場人物の一人が意を決して異を唱えます。嬉野さんはイベントで「お金も人も集まる中央があって、その周縁にローカルの役割があると思っているが、その時点で、すでに巻き込まれている」と問題提起をしました。

藤村さんは、「地方局が作るドラマという意味合いを払拭(ふっしょく)したかった」と振り返りました。

「キー局よりもいいものを作るという感度でやった。作る場は札幌であっても目指すところは全国。ただし、キャスティングはしがらみのない地方局の立場をいかして自由に選んだ。(主人公を演じた)芳根さんが今、人気があるから起用したのではなく、芳根さんしか演じられない役だからお願いした。そういうことができるのが地方局のよさ」

視聴率を追わない決断

藤村さんと嬉野さんは、長くテレビ業界の最前線で働いていますが、番組作りには独特の「物差し」を持っています。

二人の「物差し」は、「水どう」のホームページに現れています。

番組のホームページが生まれたのが2000年5月。当時のテレビ局としては相当、早い時期にインターネットに進出しています。

興味深いのは番組が最高視聴率を記録したのが前年の1999年12月8日だったこと。この時の数字は18.6%でした。20%目前まで迫る中、制作陣は視聴率を追わないという大きな決断をしています。

筆者は今年9月、番組のディレクターの藤村忠寿さんと嬉野雅道さんを招いて札幌市で開いたイベントで、インターネットへの向き合い方を聞く機会がありました。

ホームページを開設した時の心境について藤村さんは「視聴者のことだけを考えて番組をつくることにした」と振り返りました。

当たり前のように聞こえる発言ですが、民放のテレビ局は、スポンサー収入によって成り立っています。視聴者のことを軽視しているわけではありませんが、どうしても広告主のことを考えて、視聴率を気にした番組を作ってしまう現実があります。

藤村さんの発言は、そんな古くからある民放のテレビ局に対して、ルール変更を宣言したようなものでした。二人は、ホームページの掲示板でファンの悩みに答えたり、日々の日記をアップしたりすることを通じて、直接、視聴者と向き合う方向にかじを切ったのです。

テレビの価値に向き合う二人

インターネットによってテレビの存在感が小さくなっていると言われます。ネットで検索すれば、自分のほしい情報をほしい時間に得ることができます。でも、地上波のテレビ番組は、番組表通りしか放送されないので、録画をしなければ見逃してしまいます。

同時に、テレビには、チャンネルをつけた時、たままた流れていた番組によって感動するという出会いもあります。そして、同じ感動を味わった人同士のつながりが生まれていきます。事実、そうやって、「水どう」のファンは全国に広がっていきました。

「チャンネルはそのまま!」では、記者の雪丸花子やアナウンサーだけではなく、企業にCMを出してもらう営業部や、事故が起きないよう気を配る技術部の同期もていねいに描かれます。編成部という1日の番組の構成を考える部署の同期は、限られた時間内でどんな情報を届けられるか悩みます。

二人のディレクターの思いは、むしろ、ドラマの「テレビらしい」場面から伝わってきます。今年、YouTuberデビューも果たした藤村さんと嬉野さんですが、ネットでもイベントでも、場所を問わずテレビについて楽しそうに、でも真剣に語り合う姿が印象的です。

地方局でありながらグランプリを取るドラマを生み出し、20年以上前の番組が今も数万人規模のイベントを開催するほどの人気を集めてしまう。二つの番組の成功からは、テレビが持つ本当の価値に向き合う二人の姿勢が伝わってきます。


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