へその緒を切ったばかりの赤ちゃんの「おへそ」は、ちょっぴり膨らんでいるものです。でも、時間が経ってもおへそが出ていたら、「臍ヘルニア」の可能性もあります。臍ヘルニアになる原因や、普通の「でべそ」との違い、治療などについてお話しします。

赤ちゃんはどうして「でべそ」になるの?

付け根の傷跡で皮膚が押し上げられるから

おへそは、赤ちゃんが生まれた時にへその緒を切った傷跡が治るとともに縮んでへこみ、できます。

ただし、へその緒を切った後、つけ根部分の傷跡によりおへその皮膚が押し上げられると、いわゆる「でべそ」になります。この状態は「臍突出症」とも呼ばれています。

これとは別に「臍ヘルニア」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

「ヘルニア」というと、「椎間板ヘルニア」や「鼠径ヘルニア」を連想する人もいるかもしれませんね。

ヘルニアというのは、「体内の何かが本来あるべき場所からはみ出ている状態」のことを言います。「臍ヘルニア」の場合は、おへその付け根の下が閉じずに、お腹に収まっているべきものがおへそからはみ出ているのでそう呼ばれています。

赤ちゃんが「でべそ」だと、「もしかして臍ヘルニア?」と不安になることがあるかもしれません。これらはどのように異なるのでしょうか? もう少しくわしく見ていきましょう。

「でべそ」と「臍ヘルニア」はどう違うの?

おへそがちょっぴり出ていても、臍ヘルニアではない場合もあります。

でべそ(臍突出症)と臍ヘルニアの違いを見てみましょう。

正常なおへそ、でべそ(臍突出症)、臍ヘルニアのイメージ[*1]

イラストをみればわかるように、でべそも臍ヘルニアも、見た目でおへそが盛り上がっているのは同じですが、何が出ているのかが少し異なります。

最初に説明したように、へその緒のつけ根部分の傷跡によって、おへそが出っ張っているのが「でべそ(臍突出症)」。一方、このつけ根部分より下に穴が開いており(ヘルニア門)、お腹の中から腸などが飛び出してしまうと、「臍ヘルニア」になります。

ただ、赤ちゃんによっておへそがでっぱっている状況はさまざまなので、この2つは医学的にはっきりと区別されているわけではなく、基本的にはでべそ(臍突出症)も臍ヘルニアの一種という位置づけになっています。

なお、でべそ(臍突出症)は傷跡が盛り上がっているだけなので、健康上の問題はありませんが、見た目が気になる場合は手術をすることもできます。

このあとくわしく紹介しますが、臍ヘルニアであっても多くの場合、成長とともにおへその下の穴はふさがっていくので、あまり心配はいりません。新生児の赤ちゃん10人のうち約1人が臍ヘルニアというほどありふれたものですが、低体重で生まれた赤ちゃんの場合は臍ヘルニアになる確率がさらに高くなると言われています[*2]。

臍ヘルニアは治療が必要なの?

おへその下に「穴が開いている」と聞くと心配になってしまいますが、臍ヘルニアには特別な治療が必要なのでしょうか。

90%は2歳までに自然に治ります

臍ヘルニアは、1歳までにおよそ80%、2歳までにおよそ90%が自然に治ると言われています[*3]。

ただ、この場合の「臍ヘルニアが治る」とは、へそ下の穴が閉じて腸などの飛び出しがなくなることです。腸とともに飛び出していた皮膚が余って、手術による切除が必要になることはあります。

なお、臍ヘルニアの場合は、おへそのサイズは生後2〜3ヶ月ごろに最も大きくなると言われています[*3]。非常にまれですが、飛び出した腸が締めつけられて血流障害を起こすこともあり「ヘルニア嵌頓」と呼ばれています。症状は「嘔吐、腹痛、押しても戻らないおへそのふくらみ」で、この場合はできるだけ早く治療する必要があります。

ヘルニアが小さければ圧迫療法が効果的

臍ヘルニアの出っ張りが小さい場合は、よく「圧迫療法」が行われています。ただし、圧迫療法は行わず経過観察となる場合もあります。かかりつけの小児科にまずは相談してみましょう。

圧迫療法では、絆創膏で固定したり臍ヘルニア治療のためのスポンジで圧迫します。

行う際は、医師の指導に沿ってママやパパが自宅で行う場合と、定期的に通院して病院で圧迫してもらう場合の2パターンがあります。

早めに圧迫療法を始めると、治療後に皮が余っておへその形がゆがむのを防ぎやすくなります。

また、臍ヘルニアが小さければ小さいほど、治療を始める時期が早ければ早いほど、治りも早くなります。

圧迫療法をすると、早ければ1ヶ月前後で治ることもありますが、ヘルニア部分が大きかったりママやパパの手で圧迫治療を行っている場合は、治療に時間がかかることもあります。また、圧迫固定するテープにより皮膚トラブルが起きてしまうことがあります。

なお、昔はおへそが出ていると硬貨やビー玉を貼り付けることがあったようですが、その方法では逆に治るのを邪魔すると言われています。

今は肌に優しくおへその形にも影響しない治療用品があるので、圧迫療法を行う場合は、自己流で治そうとしないで、必ず医療機関で診てもらい、指導を受けて行うようにしましょう。

1〜2歳で治らなければ手術に

臍ヘルニアは、1歳を超えると自然治癒しにくくなってきます。

そのため、1〜2歳になっても臍ヘルニアが治らない場合や、圧迫療法で治ってもおへその皮が延びて目立つようになった場合には、手術するように勧められることが多いようです[*3]。

手術では、全身麻酔をしておへその下側のまわりの1/3〜1/2を切開し、ヘルニア門を縫い閉じます。だいたい1時間で手術は終わります[*2]。

なお、ヘルニアが一部残っていたり、おへその形に異常がある場合など、2歳を過ぎても、臍ヘルニアの手術は行うことができます。

小学校に入学する頃になると、まわりの子どもたちや本人がおへその見た目を気にするようになってきます。そのため、できれば小学校に入学する前に手術は済ませておくと安心ですね。

まとめ

でべそと臍ヘルニアの違いや、どうして起こるのかを紹介しました。赤ちゃんのおへそが出ていたり大きいなと思ったら、「臍ヘルニア」のこともあります。臍ヘルニアの多くは2歳までに自然に治りますが、できるだけ早く、年齢も低いうちに圧迫療法を行うと、スムーズに治りやすいと言われています。

赤ちゃんのおへそが気になったら、早めにかかりつけの小児科で相談しておきたいですね。

この記事の監修ドクター 梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

(文:大崎典子/監修:梁 尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「臍突出症・臍ヘルニア」日本形成外科学会
https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/fukubu/heso.html
[*2]日本小児外科学会:臍ヘルニア http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/heso-helnia
[*3]「臍ヘルニア・突出症診療ガイドライン」日本形成外科学会 臍ヘルニア・突出症診療ガイドライン作成部門/編

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます