現在、韓国で有名芸能人らが加害者らの厳罰を求めてSNSリレーが続くなど、韓国社会を揺るがす事件が注目を集めている。その名も、「Telegramのn番部屋事件」。


■事件の概要

去る2018年12月から2020年3月にかけて若い女性を中心に性的搾取や暴行にさらされ、そのようすがSNS上で”売買”されていた事件。
匿名性が強く、実態がわかりづらいメッセンジャーアプリケーション「Telegram(テレグラム)」内に設置された極秘のチャットルームで若い女性を中心に脅して撮影させた映像を公開し、これを有料公開としていた。各チャットルームが「1番部屋、2番部屋」などと数字がふられていたことから、総称して「n番部屋事件」と名付けられた。

レイプ動画などの過激な映像が閲覧できるチャットルームには、日本円で10万円を超える料金を請求するなど、部屋をレベルに分けるなどしていた。
韓国女性団体が主張している閲覧者は、20万人以上と報じられているが、現時点で正確な人数は把握されていない。

事件の実態が徐々に把握され始めたのは、2019年1月だった。
韓国のソウル新聞の調べで「Telegram内で児童ポルノ映像(画像)が共有されている」とわかり、同年11月には別メディアが調査し独自報道したことで明るみになった。


■事件の加害者は? 

そもそも、Telegram内に”n番部屋”というチャットルームを創設した”創設者”は「ガッガッ」と呼ばれる人物。
韓国警察庁によると、現時点でガッガッの所在や詳細は明らかになっていない。その理由として、前述したようにTelegramが匿名性の高いアプリケーションである性質があげられる。
警察庁サイバー性犯罪捜査チームが現在、ガッガッの行方を追っていると報じられている。

「博士(パクサ)部屋」を運営し、課金制にすることで多額の金を得ていた人物が身柄を拘束された。この人物はチョ・ジュビン(25)。
現地報道によるとチョ容疑者は2019年秋ごろにTelegramチャットルームに姿をあらわし、自身が運営する部屋を「博士部屋」と名付けた。

チョ容疑者は、身元特定を防ぐために仮想通貨を用いて支払わせることを思いつく。料金は第1レベル:およそ20万ウォン(約1万8000円)、第2レベル:およそ70万ウォン(約6万3000円)、第3レベル:およそ150万ウォン(約13万円)とレベル分けし、レベルがあがる(料金があがる)ほど過激な動画が閲覧できるように設定していた。

チョ容疑者は悪行に手をそめる一方で、保育施設でボランティア活動に参加するなど、”善良ぶる”姿に「鳥肌がたつ」と話す人も多い。

また、韓国人の多くはチョ容疑者など運営者だけを加害者だとは思っていない。閲覧した20万人以上のユーザーも「同様に加害者である」と主張。これらユーザーの情報も「1人残らず公開すべきだ」と声をあげている。


■事件の被害者は? 

調べによると、被害者の人数は70人を超えるという。未成年者も含まれていることもわかっている。
被害者は「アルバイト」として募集され、応募時点で個人情報を提供。この際、際どいセクシーな画像も送信させ、後々の”脅迫の手段”に使われた。
「家族に見せる」と脅して、より過激なシーンを撮影させていたという。
また「これ以上過激なことをしたくなければ、知人(女性)を連れてこい」と脅し、被害者は拡大していった。

一部情報によると、TwitterなどのSNSにセクシー(性的)な画像や動画を公開して「いいね数」を稼いでいたユーザーを狙ってアカウントをハッキングし、盗んだ個人情報を利用して脅迫していたという。

一部の動画では、被害者の肌に「奴隷」と刻まれるシーンもあると報じられ、それら猟奇的な内容も社会に衝撃を与えている。


■事件の加害者が一転、被害者に? 

チャットルーム内で画像や動画を閲覧していた男性ユーザーが、個人情報を盗まれた上でチョ容疑者に脅迫され、「利用」されていたこともわかった。
韓国メディアは「加害者であり、被害者になった事例」と報じている。


■韓国で初の「性犯罪者、身元公開」

通称「博士部屋」を運営していたチョ・ジュビン容疑者(25)に対し、身元情報公開に踏み切った。性暴力犯罪の処罰などに関する特例法(性暴法)適用で公開されるのは、今回が初めて。
2020年3月24日、ソウル地方警察庁は身元公開審議委員会を開き、性暴法第25条(被疑者の顔など公開)を根拠に、チョ容疑者の身元を公開することに決定したと発表。
警察関係者、法関係者、大学教授、精神科医師、心理学者で構成された外部委員4人による身元公開審議委員会を通して、多数決で公開が決定した。


■声をあげる韓国芸能人

ガールズグループ「MOMOLAND」の元メンバー ヨヌがチョ容疑者のものと推定されるSNSアカウントにフォローされていたとして、遮断したと明らかにした。
該当アカウントのフォロー中欄に女性芸能人や女性インフルエンサーなどが数多く発見され、その後、各SNSには自分や知人のIDがフォローされていたとの書き込みが相次いだ。

女優ムン・ガヨンは同事件を受け、、加入者全員の身元公開を大統領府に請願。加入者(ユーザー)全員の身元を公開すべきとの請願を促した。

人気アイドルグループ「EXO」BAEK HYUN、「CNBLUE」ジョン・ヨンファ、「2PM」ジュノ、「VIXX」RAVI、エリック・ナムなど多くの芸能人が「このような事件が二度と起きないように」と加害者らに対する厳罰処分を訴えている。