ダルビッシュ、マー君を育てた佐藤義則投手コーチが語る「肩を下げて投げる」理由とは

ダルビッシュ、マー君を育てた佐藤義則投手コーチが語る「肩を下げて投げる」理由とは

 3月7日に発売された、野球太郎シリーズのニューフェイス、『野球太郎育児Vol.1』。この雑誌のコンセプトは「わが子を野球でたくましく育てたいと願う保護者に贈る球育本」。名前やコンセプトの通り、子どもを野球選手に育てるメソッドが詰まった一冊だ。この中には、「野球太郎育児テクニカル」という特集があり、将来のために幼少期にやっておきたいこと、保護者のためのキャッチボール講座など、自宅コーチングのヒントが満載の内容となっている。

 雑誌『野球太郎育児』に先駆けて『週刊野球太郎』にて連載している「パパとママのための野球育児入門」では、現在、多くの野球指導者が教えている「投げる時は両肩は平行に保ったまま体重移動をする」ことに異を唱えた記事がある。プロのコーチや元プロ選手の証言を元に、解説していきたい。


◎意外だった「肩は下げちゃダメ」の大合唱

「利き腕側の肩を下げるな! 両肩は平行に保ったまま体重移動をしろ!」

 約8年前となる2005年夏。少年野球の指導者をするようになり、驚いたのが、監督やコーチがピッチャーを指導する際に、大半の方が、まるで当たり前のように冒頭のセリフを口にすることだった。

 ピッチャーが足を上げ、キャッチャー方向に踏み出していくシーンで横から(一塁側もしく三塁側)から見た際にボールを持った側の肩が下がり、グラブ側の肩が上がってしまう状態。たとえオーバースローの投手だろうと、それはご法度なのだと。

 思えば、沢村栄治(元巨人)、スタルヒン(元巨人ほか)をはじめ、江夏豊(元阪神ほか)、江川卓(元巨人)、村田兆治(元ロッテ)……ほかと表現するのも恐れ多いようなオーバースローの大投手たちの大半は、いったん利き手側の肩を下げてから投げていた。そのせいか、「肩を下げること=絶対的悪」という概念を持っていた指導者など、いなかったように思う。

 それなのに2005年の少年野球界の指導現場では「下げるな」という考えが正解とされている。これはいったいどういうことなのか…?

◎釈然としない思い

 「下げるな」派の指導者たちに下げてはいけない理由をたずねると、

「上に向かって投げることになるから高めに抜けて、低めにいい球がいかなくなるから」
「シーソーのようにギッコンバッタン投法になってしまう」
「実際は、上から投げおろしたいのに、上に向かって投げるような動作が入るのは無駄」

 といった一見もっともらしい答えが返ってくる。中には「え? 常識でしょ? 下げちゃダメなのは」と理由さえ添えられない人もいた。

 プロ野球界を見渡すと、岩隈久志(マリナーズ)、新垣渚(ソフトバンク)、石川雅規(ヤクルト)など、たしかに肩を下げなくても活躍している投手はいる。しかし、彼らは上から投げおろす、というよりはスリークウォーター寄りの投げ方。タテの回転というよりは、横の回転を使って投げるタイプだ。

 野茂英雄(元近鉄ほか)や松坂大輔(ソフトバンク)、黒田博樹(広島)といった体をタテに使って、上から投げ下ろすタイプはやはり利き腕の肩をいったん下げてから投げているのである。メジャーを見渡しても、ロジャー・クレメンス(元レッドソックスほか)を筆頭に、オーバースローで実績を残している投手のほとんどが肩をいったん下げてから投げていた。釈然としない私は「野茂や松坂を筆頭に肩を下げてから投げる投手はプロにもいるじゃないか」と異議を唱えることもあったのだが、

「あれはプロだから…」
「少年とプロとでは体力が違う」
「野球の技術書にも両肩は平行にと書いてある」

 といった、声が返ってくる。


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