山田哲人、千賀滉大、山崎康晃らが揃う1992年世代は幻の「島袋世代」でもあったのか…/俺たち同級生

山田哲人、千賀滉大、山崎康晃らが揃う1992年世代は幻の「島袋世代」でもあったのか…【俺たち同級生】
 プロ野球の世界では同学年、いわゆる同級生をひとつにまとめ「◎◎世代」と呼ぶことが多くある。

 1980年4月2日〜1981年4月1日生まれの「松坂世代」が有名だろうか。松坂大輔(前中日)を筆頭に藤川球児(阪神)や和田毅(ソフトバンク)らメジャーリーグ経験者も名を連ねており、野球の話だけでなく日常的な例えや会話で用いられることも多い。

 さて、今回から始まる新連載『俺たち同級生! 縁でつながった男たちの物語』では、「松坂世代」的なプロ野球界の同級生たちを紹介していきたい。高卒、大卒、社会人と入団年度が異なっていることから、案外知らなかった同級生が見つかるかもしれない。

 今回は1992年生まれ世代(1992年4月2日〜1993年4月1日生まれ)を見ていきたい。

◎山田哲人に千賀滉大、山崎康晃…

 1992年生まれ世代は「◎◎世代」とくくられることはほとんどない。筆者のリサーチ不足かもしれないが、「松坂世代」や呼び名に賛否両論あれど「ハンカチ世代」、もしくは「花の13年組」といった世代を表すようなフレーズは見当たらない。

 その理由の一つが、高校時代や大学時代、そしてプロ入り後に1人だけが抜きん出た存在となった、もしくは1人だけがインパクトを残す存在となったわけではない、という関係性にある。

 さて、現時点におけるこの世代のトップランナーは山田哲人(ヤクルト)と千賀滉大(ソフトバンク)だろう。

 2人ともに高卒でプロ入りを果たし、数年の雌伏期間を経て爆発。いまや世代どころか球界を引っ張る存在になった。この2人のうちどちらか1人だけなら、「山田世代」あるいは「千賀世代」と呼ばれたかというと、そんなことはない。

 この世代には、2人に勝るとも劣らない実績を残している選手がいるのだ。それは山崎康晃(DeNA)である。山田、千賀から4年遅れとなる2014年のドラフトでプロ入りを果たした山崎は1年目からクローザーに定着。すぐに不動の存在となった。また、侍ジャパンの守護神としても期待されており、東京オリンピックでもメンバー入りが確実視されている。

 内野手の山田、先発投手の千賀、リリーフの山崎とそれぞれ異なる役割で、球界を代表する選手が生まれているわけだ。誰か1人に絞って「◎◎世代」と呼ぶのはなかなか難しい。

 また、この3人と比べると侍ジャパンでの実績はないが、外野手では西川遥輝(日本ハム)が1992年生まれ世代となる。連続盗塁成功記録の山田、200盗塁以上の盗塁成功率ナンバーワンの西川と足のスペシャリストが揃っていることになる。

◎幻の「島袋世代」

 山田、千賀、山崎、西川と強力なメンツが揃っている1992年生まれ世代だが、その他にも結果を残している選手は多い。投手陣では有原航平(日本ハム)に中崎翔太(広島)。野手では甲斐拓也(ソフトバンク)、源田壮亮(西武)、野間峻祥(広島)、糸原健斗(阪神)、中村奨吾(ロッテ)、牧原大成(ソフトバンク)もそうだ。実力だけでなく年齢的にもチームの中心となってきた。そんな世代なのである。

 おそらく、これから先にこの世代からドラフトを経て新たにNPB入りをする選手はいないだろう。これらの選手たちが世代を盛り上げていくことになる。

 冒頭で一人だけ突出した選手がいないために、「◎◎世代」という愛称がついていないのではないか。との仮説を立てたが、ひとりだけその資格が“あったであろう”選手がいる。しかし、それはプロ野球ではご法度になる「if」の話になってしまうのだが…。

 この世代が高校3年時、春夏の甲子園を制覇したのは興南高だった。エースは「琉球トルネード」こと島袋洋奨(元ソフトバンク/2019年シーズンオフ戦力外)である。

 島袋は興南高から中央大へと進学しケガに見舞われる。プロで実績を残せなかったことは周知の事実だろう。

 島袋は斎藤佑樹(日本ハム)ほどのインパクトはなく、お茶の間を賑わすとまではいかなかったが、もし高卒でプロ入りを果たしていたなら、「島袋世代」として呼ばれていた可能性があるのではないだろうか。それだけ島袋の投球は鮮やかだった。もちろん「if」の世界であるから検証はできない…。

 幻の「島袋世代」とも言いたくなるこの世代はこれから先、「◎◎世代」と呼ばれることがあるのだろうか。数十年後に全員が引退した時、あらためて振り返りたい。

文=勝田聡(かつた・さとし)


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