「延期はやむを得ない」「中止にならなくて良かった」―。東京五輪・パラリンピックの1年程度延期が固まったことを受け、県民からは理解を示す声が相次いだ。「また1年、五輪を楽しみにできる」との意見も。聖火リレーなどを担当する県職員は「来年に向けてしっかり準備するしかない」と今後を見据えた。(本紙取材班)

 「選手も応援する側もみんなが一つになれる状況で開催することが一番大事。最良の判断だと思う」。長井市のホストタウン交流を機に対象国タンザニアで野球の指導や普及に携わった同市ままの上、会社役員手塚隆幸さん(47)は延期を前向きに捉えた。「また1年、五輪を楽しみに待つことができる」とも。

 ブルガリアの新体操ナショナルチームの合宿などをホストタウンとして受け入れてきた村山市。8月10日にはチームがJR村山駅を起点に凱旋(がいせん)パレードをする計画もあった。市スポーツ協会の高橋政美会長(69)=同市大槙=は「今年で引退する予定の選手もいた。家族のように接していたので(延期は)言葉にならない」と語った。

 米沢市万世町片子、会社員渡部孝幸さん(39)は「開催が決まった時からずっと楽しみにしていた。来年に向けてまた盛り上がっていければいい」と前を向いた。山形市若葉町、会社役員布施将英さん(47)は「大会を安全に開催するには1年程度の延期で大丈夫なのかな、というのが率直な感想」とし、「選手は本当に気の毒としか言いようがない」と気遣った。

 五輪後の景気後退を懸念していた経済界からは別の視点も。東京五輪・パラリンピック推進本部から社員の健康増進の取り組みが「beyond(ビヨンド)2020マイベストプログラム」の認証を受けた自動車総合整備業サニックス(山形市)社長の佐藤啓さん(53)=同市東青田3丁目=は「延期によって逆に景気の急激な落ち込みは回避できるのではないか」と見通した。

 県観光文化スポーツ部の斎藤直樹次長は、各市町村などと実行委員会を組織し、聖火リレーの準備やホストタウン事業を進めてきただけに「残念」と肩を落とす。「ただ、中止にならなかったことは良かった。今は情報収集しながら来年に向けてしっかり準備を進めるしかない」と話した。