学生や市民に親しまれている山形大米沢キャンパス(米沢市)にあるケヤキ並木について、同大は排水設備改修の一環で一部を伐採する計画を決め、29日に着工予定だったが、急きょ作業を休止したことが同日、同大への取材で分かった。景観維持の観点から現職教職員有志や学生OBらが反対の姿勢を示したため、計画見直しを探るという。同大は「事前説明が不十分だった。伐採せずに工事が可能か検討する」と話している。

 ケヤキは工学部の創立80周年記念事業として1990年10月に植えられた。国の重要文化財・旧米沢高等工業学校本館の裏側にある東西約100メートルの通りの両側に立ち並んでいる。特に今の季節は新緑の葉が生い茂り“緑のトンネル”の様相を呈している。冬は電飾が施され、憩いのスポットにもなっていた。

 同大は2020年度にキャンパス内の排水設備改修に取りかかる予定で、ケヤキ並木付近も整備エリアに含まれていた。また、根が伸びて根元部分の舗装が盛り上がり、歩道に凹凸が生じていることから、安全を確保する観点からも歩道側14本の伐採が必要とされていた。

 今月25日に教職員と学生に対し、「工事に伴うケヤキ並木の伐採について」と題した文書を電子メールで通知した。「苦渋の決断だったが安全を最優先に決定した」と理解を求めたが、すぐに保存を求める電話や電子メールが大学側に多数あったという。

 並行してインターネット上では同大工学部有志の名で電子署名を求める動きもあり、同大によると、主催者から「3日間で260人を超える賛同を得られた」とする内容のメールが寄せられた。大学側は「保存を求める声は無視できない」と判断。29日朝に伐採作業の休止を決めた。

 米沢キャンパス事務部の阿部賢二総務課長は「ケヤキ並木に対する多くの方の思いの深さを十分に理解できていなかった。工事については半年前から議論した上で決定したことだが、全体への説明も不十分だった」とコメントした。