いじめ自殺 教委は真摯に事実と向き合え

 いじめを苦に生徒が自殺した事態に、 真摯 しんし に向き合っていない。教育委員会や学校の無責任な対応が、不信を招くケースが相次いでいる。

 典型例が、茨城県取手市立中3年の女子生徒が2015年に自殺した問題だ。県が、調査委員会を新たに設置する。市教委を信頼できない、という遺族の求めに応えた異例の措置である。

 いじめ防止対策推進法は、いじめで心身に重大な被害を受けたと疑われる場合を「重大事態」と規定する。学校の設置者などによる調査を義務づけている。

 取手市教委は、生徒の自殺を「いじめによる重大事態に該当しない」と議決した上で、調査委を設置していた。学校がいじめを確認できなかったためだという。

 女子生徒は日記に「いじめられたくない」と書き残していた。両親は、いじめを目撃した級友から話を聞いていた。

 重大事態と認定しなかったことは、明らかに不適切である。当初からいじめを否定する姿勢は、調査の中立性に疑念を抱かせる。文部科学省の指導を受け、市の調査委が解散したのは当然だろう。

 悲劇を繰り返さないために、今秋にも設置される県の調査委は、卒業生から聞き取りを重ねるなど、調査を尽くすべきだ。

 仙台市立中2年の男子生徒が今年4月に自殺した問題では、この生徒が教師2人から体罰を受けていたことが判明した。

 女性教師が口に粘着テープを貼った。自殺前日に、男性教師が後頭部を拳でたたいた。同級生の保護者の指摘で、学校が初めて把握したことも看過できない。

 学校が全生徒に行ったアンケートで、複数の生徒に「くさい」「死ね」などと言われていた実態も分かった。体罰がいじめを助長した面はないか。有識者らの調査委による厳正な検証が必要だ。

 11年の大津市のいじめ自殺を機に、教委や学校の 隠蔽 いんぺい 体質を一掃しようと制定された法の趣旨が浸透していない。文科省は重大事態の事例集を作成するが、重要なのは教委の意識改革である。

 いじめを早期に把握する態勢作りも欠かせない。文科省は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した相談を始める。第三者の生徒からの情報提供も期待できよう。

 いじめを傍観せず、教師や親に知らせることが大切だ。夏休み明けには、10代の自殺が増える傾向がある。大人は子どもの様子に日頃から目を配りたい。

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