カジノを中核とした日本の統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で、秋元司・衆院議員(48)(収賄罪で起訴)が12日夜、昨年12月25日の逮捕から49日ぶりに勾留先の東京拘置所から保釈された。東京地検特捜部が手がけた大型事件で、起訴事実を否認する被告が起訴直後に保釈されたのは異例。弁護人によると、秋元被告は議員活動を続ける意向を示している。

 秋元被告は午後7時20分頃、胸に議員バッジを付けた黒のスーツ姿で出入り口に現れ、険しい表情で迎えのワゴン車の後部座席に乗り込んだ。運転席と後部座席の間はカーテンで仕切られ、車内の様子はうかがえなかった。

 関係者によると、東京地裁は保釈条件で、収賄罪で在宅起訴された元政策秘書の豊嶋晃弘被告(41)ら数十人の事件関係者との接触を禁じた。接触制限の対象には、中国企業「500.com」社側が現金100万円を提供したと特捜部に説明した5人の衆院議員や中国・ 深セン しんせん などへの視察旅行に同行した衆院議員らも含まれているという。

 起訴状では、秋元被告は内閣府のIR担当副大臣だった2017年9月〜18年2月、IR参入を計画していた「500」社側から総額約760万円相当の賄賂を受け取ったとしている。

 秋元被告側は追起訴された3日に保釈を申請し、地裁は10日、保釈保証金3000万円で保釈を認めた。検察側は準抗告したが、地裁が12日に棄却した。

 起訴事実を全面否認する秋元被告の早期保釈は、保釈に対する裁判所の積極姿勢を改めて鮮明にした。

 裁判所は、逃亡や証拠隠滅の恐れと身体拘束による被告の不利益を比較し、不利益が大きいと判断した場合は職権で保釈を認めている。地裁は今回、保釈条件で多数の事件関係者との接触を制限した。秋元被告が関係者に働きかけて証拠隠滅に及ぶリスクを一定程度認めつつも、公判準備や政治活動の必要性をより重視したとみられる。

 最高裁によると、1審判決前に地裁・簡裁で保釈が許可された割合は、2008年の14%から18年は32%に上昇した。ベテラン裁判官は「今回の保釈も近年の流れに沿ったものだ」としており、こうした全体的な傾向は今後も変わらないだろう。

 ただ、日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告が保釈中に海外逃亡したように、積極的な保釈に負の側面があることも否定できない。刑事司法の最大の目的は基本的人権を保障しつつ、事案の真相を解明することにある。裁判所はその機能を損なうことがないよう、保釈に際しては事案ごとの慎重な吟味が求められる。(竹内駿平)