東京都や神奈川県、和歌山県などで相次ぐ新型コロナウイルスの感染について、専門家は「市中で感染が拡大している恐れがある」と指摘する。人混みを避けたり、手洗いを励行したりして感染予防に引き続き努めるよう呼びかける一方、軽症で済む場合も多いことから冷静な対応も求めている。

 東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は、和歌山県などで感染が確認されたことに対し、「中国人との接触や中国への渡航歴がないのであれば、三次感染以上でウイルスに感染した可能性が高い。既に市中で感染がひろがり、事態が新たな段階に入ったことを示している」と話す。

 13日に国内で初の死者が出たが、今回の新型コロナウイルスの感染では発熱やせきなどの症状が出る一方で、軽症で済むケースが多いとされる。谷口 清州 きよす ・国立病院機構三重病院臨床研究部長(感染症疫学)は「パニックに陥ってはいけない。引き続き、マスクの着用や手洗い、せきエチケットを励行してほしい」と訴えた。

 一方、糖尿病や慢性の肺疾患、心疾患などを持っている人や免疫力が弱まっている高齢者らは、肺炎などを起こして重症化しやすい傾向にある。こうした特徴を踏まえ、谷口さんは「(感染拡大で)病院に患者が殺到すると、地域医療が破綻する。軽症の人は自宅で様子を見てもらい、症状が重い人は事前に連絡してから医療機関に来てもらうなど、患者を受け入れる体制作りが必要だ」と話す。

  大曲貴夫 おおまがりのりお ・国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長は「新型コロナウイルスは、感染しても普通の風邪と見分けにくい。もし、症状の回復が遅かったり、熱が長く続いたりするようなら、医療機関に相談した方がいい」とアドバイスする。