北海道小樽市花園の飲食店3店で発生した「昼カラオケ」の客らによる新型コロナウイルス感染拡大の影響が、市内に広がっている。市は29日から、公共施設約20か所を少なくとも7月12日までの休館・休業とし、観光面でも徐々に休止の動きが出始めている。市は29日、新たに客ら3人の感染を確認したと発表し、関連する感染者はこれで計36人となった。

■自粛協力金検討

 小樽運河にも近い同市色内の市立小樽文学館。小樽美術館も併設する建物の入り口には、下ろされたシャッターに「臨時休館のお知らせ」の紙が貼られ、付近は人もまばらだった。

 近くを通りかかった同市の会社員(55)は、「感染リスクを考えると、休館の判断は妥当」としつつ、「私も昼の外食などは自粛中で、事態が収まるまでは様子を見たい」と話していた。

 迫俊哉市長は28日、市内の飲食店に日中のカラオケ営業の自粛を呼びかけ、応じた店舗への「協力金」支給の検討を始めた。

■歓楽街も落胆

 クラスター(感染集団)が発生した店がある同市花園の歓楽街。夜の営業をしていたスナック経営者の女性は、「クラスター発生後、さらに客足が遠のいた」とこぼした。店は6月1日に営業を再開したが、ここ数日、訪れる客は1日5、6人ほど。「周辺の通りも暗くなっており、今週の営業を続けていくかどうか考えたい」と明かした。

 市内観光地の一つ、「小樽天狗山ロープウエイ」は7月1日から予定していた平日の運行再開を見送り、金・土・日限定の運行を当面続ける。運営会社の担当者は29日、「市が公共施設を軒並み休業にする現状では難しく、延期を決めた」と説明した。小樽海上保安部は、7月1日に予定した「日和山灯台」(小樽市祝津)の施設内の一般開放を中止。屋外の敷地のみ、11月末まで開放する。

 西條文雪・小樽観光協会会長は「7、8月は観光のハイシーズン。少しずつ挽回を図ろうとしていた時の感染拡大で、ショックが大きい」と漏らした。

 同市保健所は29日に記者会見を開き、同日新たに感染が確認された3人のうち、70歳代の女性2人は昼カラオケの客で、このうち1人は肺炎を発症していると発表した。濃厚接触者の80歳代男性は軽症という。

 市によると、クラスターに認定された3店の客と、その家族ら濃厚接触者を合わせた人数は約180人。店主が感染して重症となっている店については、店名を公表したことで十数人の客が市に名乗り出てきたが、まだ10人ほどの客を把握できていないという。市は健康観察で「不要」と判断した人を除いて検査を進めており、現時点では今後20人余りに検査を予定している。

 市保健所では、現状では感染経路を追えない人が出ていないとみている。会見で田中宏之・医療業務担当部長は、「今のところ(感染が市中に)まだ広がっていないと考えている。3店の利用者の把握はかなりできており、そこからの二次的な感染の広がりが対策の中心」と述べた。