僕はね、終わった後にくだらなかったと笑い飛ばせるような楽しい旅がしたいんだ 葬送のフリーレン、呪術廻戦、バーチャルユーチューバー…コスプレは都会だけのものじゃない! 鹿児島の若者に広がる「なりきり文化」

屋外でコスプレ撮影を楽しむイベント参加者ら=鹿児島市浜町の石橋記念公園

 漫画やアニメなどのキャラクターになりきる「コスプレ」が、鹿児島の若者に浸透しつつある。屋外で写真撮影を楽しむイベントも開かれ、少しずつ裾野を広げているようだ。

 鹿児島市浜町の石橋記念公園に11日、それぞれ特徴的な装いのコスプレーヤーが次々と集まった。有志でつくる団体「かごコス!」のイベントで約60人が参加。歴史ある石橋や新緑を背景に、思い思いのポーズで写真や動画に納まった。

 同団体によると、県内にはコスプレのグループは三つほどあり、屋内でのイベントを中心に活動している。同団体は今回、ロケーションを生かした写真作品作りと、コスプレ文化普及のために屋外撮影会を企画した。

 会場は同公園のほか、近くの飲食店街や防波堤など。各管理者に使用許可を取り、市福祉コミュニティセンター(祇園之洲町)を更衣室として借りた。

 参加者は若者が中心で、高校生の姿も。「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」「葬送のフリーレン」といった漫画やアニメ、ゲーム作品のほか、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)のキャラクターに扮(ふん)した。衣装やウィッグ、小道具は手作りする人もいるという。

 コスプレーヤー同士は、通称“コスネーム”で呼び合う。市内の専門学生、コスネーム・奥村ゼルさん(20)は「好きなキャラクターになりきるのが楽しい。同じ作品を好きな人同士で交流できてよかった」と笑顔を見せた。

 同センターでコスプレーヤーに遭遇した易居町の森妙子さん(80)は「楽しそう。私も若ければやってみたかった」。なじみのない文化に「最初はびっくりしたが、(参加者は)あいさつもしっかりしていて好印象」と温かく見守った。同団体は今後も屋外イベントを計画している。

◇コスプレーヤー撮影時は「声かけて」

 屋外コスプレイベントを企画する「かごコス!」は、無断でコスプレーヤーが盗撮される被害を懸念している。参加者の中には撮影を可能としている人もおり、「撮りたい場合は声をかけて」と呼びかけている。

 同団体によると、これまでに被害の報告はないが、県外のイベントではトラブルの事例がある。11日は会場の石橋記念公園にのぼり旗を立て、撮影に関して注意を促した。

コスプレイベントの開催と、盗撮への注意を呼びかけるのぼり旗=鹿児島市浜町の石橋記念公園

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