【取材の裏側 現場ノート】柔道1992年バルセロナ五輪銀メダルの小川直也氏(55)が、格闘技OBのセカンドキャリアについて緊急提言した。

〝元暴走王〟にとっても、ショッキングな事件が起きた。仮想通貨の購入費名目で現金をだまし取ったとして、詐欺容疑で柔道元五輪代表の丸山顕志容疑者(58)が逮捕されたのだ。

 小川氏は「すべて本当なら残念のひと言。五輪の時は同部屋だったし、国際大会で何度も同じ部屋になった。強化選手の中でも近い距離にあったし、仕事で成功したと本人から聞いたことがあるけど…。(だまし取ったお金を)カジノで使ったという報道もあったけど、本当なら人の信用をそういうふうに使うとは論外だよね」と元ルームメートの転落劇に声を落とした。

 プロレス、格闘技はもちろんのこと、大相撲や柔道など格闘技OBには多くの成功者がいる半面、誤った道を進むファイターも少なくない。そうした中で、小川氏は独自のセカンドキャリアを築いてきた。プロレスイベント「ハッスル」で活躍していた2006年から、神奈川・茅ヶ崎市で柔道場「小川道場」を主宰。今年4月で開設19年目を迎える。

「本当に地元の方々に支えられて、ここまで来られた。自分の力では何にもできなかったからね。セカンドキャリアって、やっぱり人の助けとか協力がないと。一人で動くのは無理だと思うよ」とした上で、第2の人生についてこう語る。

「プロレスによく似ている。興行とか試合で失敗して、ファンに『しょっぱい』とか言われても、そこでやめるわけにはいかない。自分のマイナスの財産をどうやってプラスに変えるか、『逆転の発想』だよ。これは会長(師匠の故アントニオ猪木さん)に教わったこと。第2の人生って、ネガティブにとらえずポジティブに『一歩踏み出す勇気』だと思う」と〝闘魂語録〟を随所にちりばめながら力説した。

 小川氏自身も今年になって宅地建物取引士(宅建)の資格試験に合格。4度目の挑戦で結果を出し「起業している父親が57歳で宅建を取っていたし、かねて不動産の仕事にも興味があった。何より自分で挑戦をしたかった。もちろん道場の仕事をやった上で、空いた時間に勉強したよ」。

 さらにユーチューブで「小川直也のハッスルチャンネル」をスタートさせた。〝ユーチューバー〟としての活動にもチャレンジし「これも人の助けを借りてね。俺なりの発信を続けていきたい」と次なる挑戦にやる気満々だ。(プロレス担当・初山潤一)