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DATE/ 2020.02.26

クレジットカードの不正利用で最も多い被害とは?

 2020年1月23日、大手クレジットカード会社の三井住友カードが、クレジットカードの不正利用被害にあった500人に対して行ったアンケート調査結果を公開しました。結果は以下の通りとなっています。

 【クレジットカード不正利用被害の手口は?】
1位「フィッシング詐欺」23.1%
2位「なりすまし」20.0%
3位「ネットショッピング詐欺」19.0%
4位「盗難・紛失」15.4%
5位「EC事業者による情報漏洩」12.3%
6位「スキミング」6.2%
7位「悪質出会い系サイト」4.1%

不正利用被害で最も多い「フィッシング詐欺」とは?

 以上のように、不正利用被害の最多は「フィッシング詐欺」で、全体の23.1%を占めていました。では、1位となった「フィッシング詐欺」とは、どのような詐欺なのでしょうか。

 「フィッシング詐欺」は、インターネットを悪用して個人情報を入手する詐欺の一種です。ユーザーを偽サイトに“釣り上げる”ことから、「フィッシング詐欺」と呼ばれるようになりました。ただし、魚釣りの「fishing」と区別するために、英語では、洗練(sophisticated)された手口で被害者を釣る(fishing)という意味の造語「phishing」が使われています。

 「フィッシング詐欺」の基本的な手口は、1)クレジットカード会社・銀行・有名企業などを装ったメールを送りつけ、2)本物によく似た偽サイトへ接続させ、3)個人のクレジットカード情報や銀行口座情報などを利用者に入力させて盗み出し悪用する――です。

「フィッシング詐欺」予防の基礎知識

 100冊以上のパソコン関連書籍を執筆している吉岡豊氏は、「フィッシング詐欺」予防の基礎知識として、「銀行やクレジットカード会社からクレジットカード番号や銀行口座、パスワードを確認するメールがくることはない」と断言しています。

 そして、「フィッシング詐欺」の被害にあわないため、疑わしいメールの対処法として、「いちばん大切なのは、情報の確認やログイン画面を表示するためのURL(ウェブページのアドレス)やリンクは絶対にクリックしないということ」と、呼びかけています。

 そのうえで、もしフィッシングサイトらしきページが表示されてしまった場合、以下の3点をチェックすることを推奨しています。

 1)URLは「https:」から始まっているか:通信情報を暗号化し、サイト運営者の身元を確認するための機能が「SSL証明書」で、多くの銀行や企業のサイトで導入されている。この証明書が導入されていると、アドレスバーに鍵のアイコンが表示され、URLは「https:」で始まる。

 2)入力欄の項目や内容に不自然な部分がないか:偽サイトは日本語がぎくしゃくしていたり、不自然だったりする場合が多い。

 3)URLは正しいか:アドレスバーのURLが正しいかどうかを確認する。その企業名やサービス名をURLの一部に入れて安心させるケースもあるので要注意。

クレジットカード不正利用を防ぐ「5つの対策」

 他方、1位の「フィッシング詐欺」(23.1%)以外の不正利用にも、注意は欠かせません。

 2位の「なりすまし」(20.0%)は、自分になりすました第三者がクレジットカードを利用するケースです。また3位の「ネットショッピング詐欺」(19.0%)は、ネットショップで購入した商品が送られてこないという詐欺で、どちらも「フィッシング詐欺」同様の高い割合となっています。

 また5位「EC事業者による情報漏洩」(12.3%)、7位「悪質出会い系サイト」(4.1%)など、クレジットカードの不正利用の多くに、サイバー犯罪やネットセキュリティの脆弱をつくケースが目立ちます。

 三井住友カードの自社メディア「ヒトトキ」でも、「ネットショッピング詐欺や悪質出会い系サイトなどは、支払いにクレジットカードを利用する場合も多いため、結果的にクレジットカード支払いのトラブルにつながっています」と述べています。

 そのうえで、クレジットカード不正利用を防ぐ〈日頃からできること〉と〈万が一被害にあったら〉の「5つの対策」を紹介しています。参考のうえ、ぜひ、日々の備えとしてください。

 【クレジットカード不正利用を防ぐ「5つの対策」】
〈日頃からできること〉
1)利用明細:早期発見が重要。こまめかつ細やかに確認する。
2)暗証番号:容易なものは避け、絶対に人には教えない。
3)カード:裏面には必ず署名する。
〈万が一被害にあったら〉
4)カード会社へ相談:カード裏面の電話番号にできるだけ早く連絡する。
5)警察へ行く:被害届を出す。

 ※補足1)補償を受けるためには、期日内の届出が必要となります。不正利用に気づくのが早ければ早いほど安心した補償につながるため、利用明細のこまめなチェックは欠かせません。また、被害が少額のため見逃してしまうケースもありますので、細やかな確認をしてください。

 ※補足2)警察に被害届を出していなかったり、カードの裏面に署名していなかったりなどにより、補償されない場合もあります。

<参考文献・参考サイト>
・三井住友カード、クレジットカードの不正利用被害にあった500人に調査│三井住友VISAカード
https://www.smbc-card.com/company/news/news0001501.pdf
・【ヒトトキ調査】クレジットカードの不正利用被害にあった500人に聞いた!私のカードでテーマパークのチケットが買われていた??
https://www.smbc-card.com/mem/hitotoki/learn/survey_abuse.jsp?dk=ad_snt_083_90920
・「フィッシング詐欺」「日本大百科全書」(小学館)
・「フィッシング詐欺(phishing)[新語流行語]」『イミダス 2018』
・『知らずにやっているネットの危ない習慣』(吉岡豊著、青春新書)
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