弘前さくらまつりが開幕 新型コロナ後初 満開は19日の予想

江湖良二 野田佑介
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 青森県弘前市弘前公園で12日、「弘前さくらまつり」が開幕した。新型コロナが昨年5月、感染症法上の5類に移行された後初めての開催。弘前市など主催4団体の代表らがテープカットしてオープンを祝った。5月5日まで。

 まつりの開幕は19日に予定していた。ソメイヨシノの開花予想が早まったことから12日に1週間前倒しし、過去最も早い開幕となった。市の「さくら情報」によると弘前公園の開花予想は14日。満開は19日で、いずれも平年より8日早い。

 セレモニーで桜田宏市長(64)は「困難をのりこえて、すべての制限を撤廃、本来のまつりを開催できることを大変うれしく思います。多くの方においでいただき、楽しんで欲しい」と期待を込めた。

 この日の桜は、少し膨らんだつぼみが大部分。11日に開花した本丸エリアの「弘前枝垂れ」周辺では、観光客が記念写真を撮ったり、花びらに手をふれたりしていた。園内では、アイスなど140軒を超える出店が営業を開始、にぎわいがスタートした。

 横浜市から娘と2人で訪れた仲本貴子さん(61)は「まつりが早まったと聞いて訪れたけれど、1週間早かった。でも、枝垂れ桜がみられてよかった」。娘の真理子さん(31)は「花いかだが見たかった。もう一度弘前に来てチャレンジします」と話していた。(江湖良二)

 「顔に近い低いところで楽しめ、花の数が豊かなのが弘前公園の桜の特徴。弘前らしさを保っていきたい」。青森県弘前市公園緑地課で桜の世話をする「チーム桜守」のひとり、橋場真紀子さん(51)はこう話す。

 園内には桜が52種類約2600本、ソメイヨシノが約1700本ある。樹木医の資格を持つ3人とあわせ、公園緑地課のメンバー44人で公園の桜を世話する。

 弘前公園の桜は昭和30年代、リンゴの剪定(せんてい)方法を応用して背の高さを低く切った。その後伸びた枝が高く育ち、日光が少ない下の花が育ちにくくなった。この数年、木を低く剪定する作業に取り組む。

 ソメイヨシノ約1700本のうち約400本が100歳以上。古木とされる木が多いことも特徴だ。桜の寿命は60~70年とされるが、手入れをし枝を切ることで寿命が延び、たくさんの花が咲く。

 世話は剪定だけではない。施肥、病害虫対策と年間を通じて手間がかかる。「もともと桜は弱く、剪定がいちばん気をつかう」と橋場さん。

 市民にとって、弘前公園の桜の木一本一本が家族と触れあった思い出と結びつく。変わってしまうと、市民が残念がる。

 「桜を愛する市民が『よし』といってくれる桜にできれば、どこに出しても恥ずかしくない」と話す。(江湖良二)

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 桜の開花時期が早まっている影響で、青森県内の桜にちなんだ「まつり」も、一部で前倒しして開催する動きがみられる。

 6日から始まった「十和田市春まつり」は、開始時期を昨年より2週間早めた。主催団体の一つ、十和田奥入瀬観光機構の担当者は「開花が特に早かった昨年は、まつりが始まったころにはすでに葉桜だった。桜が咲いている間に会場に足を運んでもらいたかった」。天候に恵まれたこともあり、「昼も夜も人出がある。開花を前にまつりのムードが高まっている」と話す。

 むつ市で20日から始まる「むつ桜まつり」も、昨年より10日ほど前倒しした。過去最も早くなったという。主催するむつ市観光協会によると、開始時期は3月半ばに決まったといい、関係機関との調整やチラシ製作なども早めた。担当者は「スタートが10日ほど早くなると、準備もその分早くなる。年度をまたぐことになったのでバタバタだった」と明かす。

 一方で、例年通りの時期に開催するところもある。五所川原市の県立芦野公園で行われる「金木桜まつり」は29日から始まる。実行委員会事務局の金木商工会によると、もともと4月下旬からの大型連休中のイベントなので時期は変更しなかったという。ただ、かつてはまつりの期間中に満開になったといい、「少しだけでも桜が残っていたらいいけど……」と気をもんでいる。

 市内では5月1日に、3月の大相撲春場所で優勝した尊富士(たけるふじ)関の凱旋(がいせん)パレードなどがある。市はおよそ2万人の人出を見込んでおり、商工会の担当者は「尊富士関にあやかって、桜まつりも盛り上がれば」と期待を込める。(野田佑介)

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