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ロッテ・荻野貴司 存在の大きさをあらためて実感/生え抜きの輝き

 

プロ11年目を迎える荻野貴司。歓喜の味を知らぬ男は、ロッテで悲願を成就させる決意だ


 打線につながりを欠いた、今年3月のオープン戦は、この選手の存在の大きさをあらためて痛感させられた。

 荻野貴司は左ヒザに違和感を訴え、二軍での調整を余儀なくされ、ベストオーダーではない打線。ソフトバンクからフリーエージェントで加入した福田秀平と形成する俊足強打の一、二番コンビは、お預けとなった。

 プロ10年目の昨季は、打率.315、10本塁打、46打点、28盗塁といずれも自己最高の成績をマーク。国内FA権を取得したものの「まだまだロッテでやることがある。優勝に貢献できるような仕事をしたい」と行使せず、残留を決断。今年10月で35歳を迎え、円熟味を増している背番号0は、今季も千葉での活躍を期した。

 度重なる故障に泣かされてきた。ルーキーイヤーの2010年は46試合で25盗塁という驚異的な数字を残したが、5月下旬に右ヒザを痛めて手術を受け、残りのシーズンを棒に振った。

 チームはリーグ3位から日本一に駆け上がり、そのポストシーズン期間中、荻野自身はリハビリに明け暮れていた。だからこそ「優勝というものを味わいたい」と心の底から願っている。

 昨季は夏場に打率部門でトップに立つことがあった。「恥ずかしかった。気持ちいい感じではなかった。2、3番目のほうが落ち着く」とポツリと言い、ベストナインとゴールデン・グラブ賞のダブル受賞にも「縁が無いと思っていた。ご褒美みたいな感じ」と笑う。どんなに活躍しても謙虚な姿勢は変わらない。

 荻野が不在の間、井口資仁監督は「貴司が帰ってきたら、ようやく全員がそろう」と繰り返していた。開幕が大幅に延期となった結果、焦らずに状態を上げることはできた。

「今はパワーをためるとき」とプロ11年目の開幕を静かに待っている。

写真=BBM
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