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2019センバツ

【センバツ】習志野10年ぶり春1勝を強力アシストした「美爆音」

 

近年高まるブラバン応援人気


習志野高校吹奏楽部と言えば「美爆音」である。10年ぶりのセンバツでも選手たちを強力サポートして、初戦突破へと導いた


「美爆音」が10年ぶりに、春の甲子園を制圧した。野球部を強力サポートする習志野高校吹奏楽部が、アルプス席に戻ってきた。夏を含めれば2011年夏以来の演奏に、試合前(対日章学園高)から胸の高鳴りを抑えられなかったのは、酒井悠歌部長(新3年)だ。

「昨日、20時にバスが出発して朝7時に到着しましたが、一睡もできなかった。楽しみで、楽しみで……。野球部に来させてもらっている立場。甲子園で演奏できることに感謝です」

 習志野高は全日本吹奏楽コンクール金賞23回など「東の横綱」と呼ばれる名門だ。ブラバン応援においても、全国トップレベルの音程、音量、音色、音質を誇る。コンテストに向けた取り組みは活動の一部に過ぎず、サッカー、バレーボールら各部の応援、福祉施設に出向いてのボランティア演奏会、そして、全国各地で演奏会のリクエストも絶えないという。そこで必ず、メニューに組み込まれるのが「野球応援」。同吹奏楽部のホームページを見ても、年間予定はぎっしりである。

 11年夏、ベスト8に進出して以来の甲子園での生演奏。この8年でアルプス応援の浸透力はすさまじく、バラエティー番組でも特集が組まれるなど、高校野球には欠かせない文化の一つなっている。ブラバン応援愛好家も多く、昨年6月には千葉県内で6校(習志野高、拓大紅陵高、作新学院高、東海大相模高、愛工大名電高、大阪桐蔭高)による合同イベントを開催。チケット入手が困難なほど、ブラバン応援人気は高まるばかりである。今年6月にも習志野高、東海大相模高、横浜高、日大三高による応援コンサートが行われる予定だ。吹奏楽部同士の横のつながりも年々、強固なものになっているという。

 日章学園高との1回戦。習志野高は全校生徒の約5人に1人が吹奏楽部部員であり、すでに卒業式を終えた旧3年生を含めて、約200人の部員が大応援を繰り広げた。

「一発目」に、全神経を集中させた。これは演奏会でも一緒である。なぜなら、球場すべての観衆に「何だ、これは!!」とファーストインパクトを与えるためである。

 1回表、習志野高の攻撃。一番の主将・竹縄俊希がコールされた9時2分の校歌から演奏スタート。初球を打った竹縄の遊ゴロで、相手の一塁悪送球を誘った。一発目のサウンドに少なからず、影響を受けたのは間違いない。

 習志野高のお馴染みのオリジナル応援歌である「レッツゴー習志野」を9分間、演奏し続けるなど、打者11人の猛攻で一挙7点を先制した。序盤の大量リードで主導権を握った習志野高は8対2で初戦突破を果たしている。

 最後は勝利のファンファーレで、華麗に演奏を締めた。主将・竹縄は試合後「本当に力になりました」と感謝。吹奏楽部による「美爆音」が、09年以来10年ぶりの春1勝へのアシストとなったことは確かである。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子
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