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2019センバツ

【センバツ】「美爆音」だけじゃない。習志野の応援に花を添えたバトン部、部長の情熱

 

笑顔を絶やさず精いっぱい応援


習志野バトン部・長谷川歩沙部長は東邦高との決勝も90分、力の限り踊り続けた


 センバツ最終日。閉会式で興味深いのは、応援団コンクールの発表である。30年ぶり5度目の優勝を遂げた東邦高と、準優勝の習志野高はともに優秀賞だった(最優秀賞は富岡西高)。

 決勝で惜敗したとはいえ、習志野高のアルプススタンドは1回戦から決勝まで5試合、全力を出し尽くした。「美爆音」を奏でる全国屈指の名門・吹奏楽部が脚光を浴びたが、リズミカルな「習高サウンド」に合わせてポーズを取るバトン部も、野球応援に華やかさを添える。とにかく、統率がしっかり取れており、一つひとつの動きもキレが抜群なのだ。

 3年生14人、2年生14人を取り仕切る長谷川歩沙部長は筋金入りである。5歳から新体操を始め、小学3年からは地元・千葉ロッテが主催する「マリーンズ・ダンスアカデミー」に通った。ロッテと言えばM☆Splash!!が有名だが、スクールはその下部組織。年に5回ほどは本拠地・QVCマリンで踊ったことがある。

 しかし、M☆Splash!!のメンバーに入るには、難関のテストオーディションを突破しなければならない。高校3年生が対象。長谷川部長は必死に努力を続けたものの、自身のレベルに限界を感じ、ダンスとは別の道に進む決意を下した。

 スクールは土曜日。平日はバトン部での活動と多忙を極めた。センバツ前はオフなしで、万全の準備を進めてきた。試合中はほぼ立ちっぱなし。「確かに疲れますが、それ以上に声援を送り届けたい」と笑顔を貫いてきた。名物応援歌『レッツゴー習志野』が最大の見せ場。ポンポンとタンバリンを持ち替えるスピードには思わず、目を奪われてしまう。

 東邦高との決勝は0対6の惜敗。ゲームセットがコールされるまで90分間、倒れる寸前まで野球部を鼓舞し続けてきた。しかし、勝負の世界は厳しい。閉会式を前に、三塁アルプスで長谷川部長はこう語ってくれた。

「ここまで連れてきてもらってきた野球部には、感謝の言葉しかありません。春休みをこの応援にかけられたのがうれしい。本当に幸せでした」

 小学3年時から、知人の影響により習志野高へ入学することを決めていたという長谷川部長。

「習高に対する愛はすごいものがあります。あと1年を残していますが、卒業したくないです」

 さて、将来は「手に職をつけたい」と、美容師を目指している。高校卒業後は専門学校に通い、自らの夢を追いかけていく。ダンスにかけた情熱があれば、どんな高い壁と向き合っても、乗り越えていける。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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