トランプ氏の元選対本部長、偽証し司法取引に違反=米連邦地裁

Former Trump campaign manager Paul Manafort. Photo: June 2018

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画像説明, ポール・マナフォート元選対本部長

米ワシントン連邦地裁は13日、ドナルド・トランプ米大統領の元選対本部長が検察に繰り返し偽証したため、特別検察官との司法取引の条件に違反したと判断を示した。

ワシントン連邦地裁のエイミー・バーマン・ジャクソン判事は、2016年米大統領選でトランプ陣営の選対本部長だったポール・マナフォート被告(69)が、連邦捜査局(FBI)とロバート・ムラー特別検察官の捜査チーム、ならびに大陪審に対して「複数の虚偽の発言をした」と判断した。

マナフォート被告は昨年8月、大統領選とは直接関係のないウクライナでの政治コンサルタント活動をめぐり、銀行詐欺罪などで有罪評決を受けた。被告はその際、司法取引に応じ、2016年選挙のロシア介入疑惑とトランプ陣営との結託疑惑を捜査しているムラー特別検察官への捜査協力に合意した。

しかしジャクソン判事はこの日の審理で、ロシアの政治コンサルタントとの接触などについて被告が嘘をついたことを示す証拠があると指摘した。検察は、このロシア人コンサルタント、コンスタンティン・キリムニク氏がロシア情報当局とつながっていると主張している。

昨年6月からヴァージニア州の拘置所にいるマナフォート被告は、ジャクソン判事のこの日の判断によって、より重い量刑を言い渡されるか、あるいはあらためて起訴される可能性がある。

ムラー特別検察官も昨年、被告が司法取引後に「様々な内容について」偽証を重ねたと主張していた。

司法取引の内容は

マナフォート被告の裁判は、ムラー氏のロシア疑惑捜査に伴う初の刑事裁判で、被告は昨年8月、詐欺、銀行詐欺のほか、銀行口座の存在を開陳しなかったなどの罪状8件で有罪評決を受けた。

その翌月には、ムラー氏との司法取引に基づき、資金洗浄(マネーロンダリング)罪などでの公判を回避するため、アメリカに対する共謀罪1件と司法妨害を意図した共謀の罪1件で有罪を認めた。

司法取引に応じたことで被告には、最長10年の実刑判決が言い渡される見通しだった。禁錮刑のほか、マナフォート被告は所有不動産4件や複数の銀行口座の資産などを放棄する代わりに、他の罪状に伴う量刑は免除されることになっていた。

ムラー特別検察官は2017年10月に、マナフォート被告を大統領選とは直接関係のないウクライナに関する資金洗浄罪などで正式起訴したほか、昨年2月に複数の脱税や銀行詐欺などの罪で追起訴している。

検察は公判中、被告が資産数百万ドルへの課税を逃れるため、3カ国に開いた31の銀行口座を使い分けていたと主張した。