「来年のサミットは私のリゾートで」 トランプ大統領が提案
「来年のサミットを、私のゴルフリゾートで開いてはどうか」。ドナルド・トランプ米大統領が26日、フランスで開かれていた主要7カ国首脳会議(G7サミット)の記者会見でそんな提案をし、一部で「利益誘導だ」との批判の声が上がっている。
トランプ氏は会見で、「これは個人的なことではない。適正な場所を選ぶということだ」と述べた。
部下たちが検討済み
トランプ氏がサミット会場に提案したのは、米フロリダ州の同氏所有のリゾート「ナショナル・ドラル・マイアミ」。マイアミ空港から約13キロの距離にある。
トランプ氏は、「広大で何百エーカーもあるから、何があっても対応できる」と利点を上げた。
また、すでに「私の部下たち」がアメリカ国内の他の候補地も検討しており、その末の結論だと述べた。
「部下たちが12カ所を視察した。全ていいんだが、空港から2時間とか4時間とかかかるところもあり、遠すぎる」
「これはだめ、あれはだめ、という場所もあった」
候補地としてずば抜けている?
トランプ氏は、候補地を検討した「部下」には、大統領の身辺警護を担当するシークレットサービスや軍関係者が含まれていると説明。「彼らはここが望ましいと結論を出した」。
この日に開いた、ドイツのアンゲラ・メルケル首相との共同会見では、まだ最終決定には至っていないものの、自分のリゾートが次期サミット開催地の有力候補だと説明。他の候補地は、「競争相手にもならない」と述べた。
「金もうけに関心ない」
トランプ氏の提案に対し、「サミットを食い物にしようとしている」との見方も出ている。
記者会見では、私有地でサミットを開くことの妥当性について、トランプ氏に質問が飛んだ。
トランプ氏は、「まったく金もうけにならないと自分は思う」、「金もうけに興味はない(中略)この場所だとうまくいくだけだ」と返答。もし開催すれば、逆に費用を支出することになると述べた。
また、自らのブランド価値を高める狙いは「まったくない」と強調した。
米紙マイアミ・ヘラルドは5月、「ナショナル・ドラル・マイアミ」が「予想収益を大きく下回って」いると報じていた。
自分のリゾートに滞在
米紙ワシントンポストによると、アメリカが議長国となる来年のサミットを、トランプ氏所有のリゾートで開催する案は、6月に浮上した。
トランプ氏の側近は、同氏所有地での開催は倫理上の問題があるとして、慎重な姿勢を示していたという。
国内外にゴルフリゾートを所有するトランプ氏は、大統領就任後もそれらを訪れ、批判を浴びている。今夏のイギリス国賓訪問の後には、アイルランド・デューンベッグにある、自身が所有する高級リゾートに滞在した。
アメリカの憲法には報酬に関する条項(Emoluments Clause)があり、大統領が直接、間接を問わず、いかなる利益や有利性を得ることを禁じている。
トランプ氏は大統領就任にあたり、自分の各種事業を統括する「トランプ・オーガナイゼーション」の経営権を息子たちに譲ったものの、他の大統領がしてきたように資産を「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託、第三者が完全な裁量権を持ち運用する)に預けることもなく、事業の所有権も手放していない。