エリザベス女王、2019年は「特にでこぼこ」 クリスマスのあいさつ

動画説明, 【全訳】 エリザベス女王のクリスマスあいさつ 「小さな一歩が大きな飛躍に」

イギリスのエリザベス女王は25日、毎年恒例のクリスマスのあいさつで「小さな一歩が大きな飛躍になる」と語った。

また、2019年は「特にでこぼこな道」に感じられたと述べた。

2019年のイギリスでは、年初からブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)をめぐり激しい議論が続いた。

王室でも、王族個人に関わる出来事が数多く起きた。

The Duke and Duchess of Sussex

画像提供, Dominic Lipinski/PA Media

画像説明, サセックス公爵ハリー王子とメガン妃の第1子はアーチー・ハリソンと名付けられた

エリザベス女王のあいさつはBBCが製作し、12月12日の総選挙後にウィンザー城の緑の間で撮影。25日午後3時(日本時間26日午前0時)にBBC Oneで放送された。

女王はアンジェラ・ケリーのロイヤルブルーのカシミアドレスに、サファイアとダイヤモンドのブローチを着けた。このブローチは、1840年のヴィクトリア女王結婚式で、夫のアルバート王配殿下から贈られたもの。

眼前の机には、いくつかの写真が置かれた。チャールズ皇太子と妻のコーンウォール公爵夫人のもの、孫のケンブリッジ公爵ウィリアム王子とキャサリン妃と、ひ孫のジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子が写ったもののほか、父親のジョージ6世のモノクロ写真も見てとれる。

メッセージの中で女王は、イエス・キリストの生涯から融和の重要性に触れ、「信仰と希望に支えられた小さな一歩が長年にわたる対立を克服し、深い分裂に調和と理解をもたらします」と話した。

「道は常に平らなわけではありません。今年は特にでこぼこ道だと感じられました。しかし、小さな一歩が大きな違いを生むこともあります」

また、第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦75周年にも言及し、「かつての敵」が「友好的な記念式典に集まった」と述べた。

「過去の対立を忘れよう、共に前に進もうという意志のもと、かつて多大な犠牲の下に勝ち取った自由と民主主義に敬意を表します」

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王室にとっても、2019年は波乱万丈の1年だった。

女王の夫エディンバラ公フィリップ殿下(98)は24日、4泊したロンドンの病院を退院。王室は、「主治医の勧めを受け」た「念のため」の措置だと説明していた。

フィリップ殿下は1月、ノーフォーク州にあるサンドリンガム宮の近くで自動車事故の当事者となった。殿下にけがはなかったが、衝突した自動車の女性2人が病院で手当てを受けた。この事故を受けて殿下は、運転免許証を自主返納した。

5月には、孫にあたるサセックス公爵ハリー王子と妻のメガン妃の間に第1子アーチー・ハリソンが生まれた。一方9月には、夫妻がマスコミの批判的報道に苦しんできたことを明らかにし、話題になった。

さらに11月には、女王の第三子のヨーク公爵アンドリュー王子が、性的人身取引容疑で勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスティーン容疑者との交友関係についてBBC番組でインタビューに応じたものの、未成年女性との関係などに関する発言が非難され、公務を控えることになった

教会での礼拝、ジョージ王子らが初参加

The Prince of Wales with the Duke and Duchess of Cambridge and their children Prince George and Princess Charlotte

画像提供, PA Media

画像説明, 毎年恒例の聖メアリー・マグダレーン教会での礼拝におもむくチャールズ皇太子、ケンブリッジ公爵夫人キャサリン妃、シャーロット王女、ケンブリッジ公爵ウィリアム王子、ジョージ王子

25日のクリスマス当日、毎年恒例の聖メアリー・マグダレーン教会での礼拝に、ジョージ王子(6)とシャーロット王女(4)が初めて参加した。

王族は伝統的に、サンドリンガム宮でクリスマスを過ごし、クリスマスの朝に礼拝に臨む。

教会の外には王族を一目見ようと人々が集まり、ジョージ王子とシャーロット王女に花束や贈り物を渡していた。

一方、フィリップ殿下は参加を見送ったほか、アンドリュー王子は他の王族とは別の入り口から教会に入るなど、目立たないよう参加していた。

また、クリスマスをカナダで過ごしているサセックス公爵夫妻は23日、ツイッターで家族写真を公開した。

Digital Christmas card by the Duke and Duchess of Sussex

画像提供, @SussexRoyal/PA Wire

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<分析>女王のあいさつ、隠れたメッセージは? ――ニコラス・ウィッチェル王室担当編集委員

「今年は特にでこぼこ道だと感じられました」

エリザベス女王はクリスマスのあいさつで、2019年をこう振り返った。

この言葉を選んでの発言が何を指しているのか、推測せずにはいられない。

女王自身は特定の事柄に言及していたわけではない。しかしこの言葉は、女王が「希望と信仰に支えられた一歩」が、「長年の相違」や深い分裂を克服すると述べた文脈で語られた。

これが、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)による分裂から動き出してほしいという女王のメッセージだと読み解くことは簡単だ。

一方「でこぼこ道」という表現は、フィリップ殿下の自動車事故、サセックス公爵夫妻のメディアとの確執、そしてアンドリュー王子に向けられた疑惑など、女王自身の家族に起きた出来事を表しているように思える。

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