エリザベス英女王、ハリー王子とメガン妃に「移行期間」認める
イギリスのエリザベス女王は13日、王室の役割から距離を置くと発表したサセックス公爵ハリー王子と妻メガン妃の今後について、「移行期間」を認めると発表した。
夫妻は8日、王室の「主要」メンバーの役割から距離を置くと宣言。今後はイギリスと北米を行き来しながら活動するとした。
エリザベス女王はこれに対し、2人の新しい役割に対する願いを「全面的に支持する」と述べた一方、できればフルタイムで公務を行うことを「望ましいと思っている」と語った。
その上で、数日以内に最終決定を行うと述べた。
2人の願いを「尊重し、理解している」
ウェブサイトで発表した声明でエリザベス女王は、ノーフォーク州のサンドリンガム宮殿でハリー王子の父チャールズ皇太子や兄ケンブリッジ公爵ウィリアム王子らと「とても建設的な」話し合いを行ったと明らかにした。
「ハリーとメガンの若い家族として新しい生活を作りたいという願いを、私たち家族は全面的に支持しています」
「本当は王室メンバーとしてフルタイムで公務を行うほうが望ましいと思っていますが、家族の大切な一員であり続ける一方、より独立した生活を送りたいという2人の願いを尊重し、理解しています」
その上で、「ハリーとメガンは新しい生活で、公的資金には頼りたくないという意思を明確にした」ため、「サセックス公爵夫妻がカナダとイギリスで生活する移行期間」を設けることを認めたと話した。
また、「私たち家族にとって複雑な問題で、やるべきことがまだありますが、向こう数日内に最終決定を行うようお願いしました」と述べた。
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ハリー王子はエリザベス女王の孫で、チャールズ皇太子と故ダイアナ元妃の次男。王位継承権で6位に位置する。2018年5月にメガン妃と結婚し、昨年5月に第1子のアーチーちゃんが生まれた。
しかし10月、夫妻はメディアから注目され続けることに悩んでいると発言。また、手紙を不当に公開されたとして英タブロイド紙を提訴した。
ハリー王子はこの時に発表した声明で、「私はかつて母を亡くし、今は妻が、同じ強力な勢力の犠牲者になるのを見ている」と批判していた。
ハリー王子とメガン妃の発表をめぐっては、他の王室メンバーに事前の相談はなかったといわれている。
BBCのニコラス・ウィッチェル王室担当編集委員は9日、女王が皇太子やウィリアム王子と連絡を取ったと報じた。
3人はそれぞれ、王室の幹部職員らに対し、ハリー王子の家族や政府と協議して近日中に解決策を見いだすよう指示したという。
こうした中、メガン妃は9日にカナダにアーチーちゃんと到着。
サセックス公爵夫妻はクリスマスから新年にかけ、6週間にわたって公務を休み、アーチーちゃんと共にカナダに滞在していた。
アメリカ国籍をもつ元女優のメガン妃は、結婚前に米テレビドラマ「スーツ」に出演中、カナダのトロントに住んでいた。カナダ人の友人も何人かいる。
カナダのジャスティン・トルドー首相は地元メディアの取材で、夫妻のカナダでの生活について、セキュリティーやカナダ国民の税負担なども含めた話し合いは「一切行われていない」と話した。
<解説> 明らかな「遺憾の意」 ――ジョニー・ダイモンド王室担当編集委員
エリザベス女王からの声明は非常に率直で、非公式な、ほとんど個人的と言ってもよいものだった。
ハリー王子とメガン妃の選んだ道に、女王が遺憾の意を示していることは明らかだ。2人には現在の役割を担い続けてほしいと思っているだろう。
しかし一方で女王は、2人がなおイギリス王室の一員であり、今より独立するようになっても大事な家族として扱うことを明言した。
答えられていない疑問は山ほどある。将来的な公務、残りの王族との関係、誰が何を支払うのか(女王は、納税者ではないと言っているが)、そして2人がどのように生計を立てていくのか。
解決しなければいけない、合意しなければならない問題がたくさんあるし、その全てが公になるわけでもないだろう。
女王はまた、今回のことをひとつの案件ではなく、過程としてとらえているようだ。女王は声明で、夫妻がカナダとイギリスを行き来して生活する移行期間について言及した。
その上で、数日内に最終決定を行うよう呼びかけているが、この決定の評価に数カ月、あるいは数年かかる可能性もある。