EU、100兆円超の復興基金で合意 新型ウイルス経済対策

Man wearing mask at vegetable stall in Rome (16/04/20)

画像提供, Getty Images

画像説明, イタリアは、経済支援をめぐり、ほかのEU加盟国の対応は不十分だと主張している

欧州連合(EU)は23日、ビデオによる首脳会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大で経済に打撃を受けた加盟国を支援するため、1兆ユーロ(約116兆円)規模の「復興基金」を設けることで合意した。

財源は2021~27年のEU中期予算でまかなわれるという。

EUは総額5400億ユーロ(約62兆6000億円)の経済支援を6月1日から開始することも確認した。

また、「長期間」にわたり新型ウイルスの感染拡大のスピードの低下がみられた場合に、それぞれロックダウン(都市封鎖)を緩和していくという、欧州委員会からのガイダンスに従うことでも合意した。

欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「復興基金」について、1兆ユーロ規模になるだろうとした。

長期的な復興計画の資金調達の詳細については、5月6日のビデオ会議で議論される。

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経済支援策が強く求められる中、これまで激しい議論が繰り広げられていた。しかし、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は23日、「大きな進展」があったと述べた。

欧州で最も被害が甚大なイタリアは、加盟国の、とりわけ裕福な欧州北部の国々に対し、さらなる連帯を示すよう求めていた。

動画説明, 「残りは290円」 イタリアの都市封鎖、収入ゼロも

救済基金の分担をめぐっては、被害が甚大なイタリアとスペインの復興支援に関するフランスからの提案に、オランダやデンマーク、オーストリア、ドイツ、スウェーデンが反対するなど、分断が起きていた。

しかし、イタリアのコンテ首相は今回の合意を「欧州史における重要な節目」だと述べ、満足しているとした。一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、分断は残っていると述べた。

マクロン大統領は、「正直に言おう。欧州が他の国へ融資するために借金を増やしても、我々が必要としている対応には応えられないだろう」と述べた。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は今回の会議に先立ち、ドイツは新型ウイルス感染の「最終段階ではなく、まだ始まり」にあると警告した。

メルケル首相は、「我々は、このウイルスと長い間共存していかなければならないだろう」とした上で、同国は「EU予算に対し、非常に異なる、つまりもっと多額の拠出を行う」用意をしなければならない」と述べた。

「EUの連帯は存続」

今回の会議ではイタリアが憤慨して退場したり、フランスやイタリアが求めていた、ユーロ圏で「コロナボンド」と呼ばれる共同債券を発行して危機対応のコストを分担する案にオランダがいら立ったりするといった場面はなかった。

BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長は、少なくとも今回は、EU加盟国首脳はが一致団結した姿勢を示そうとしていたと指摘する。そこには、「自分たちは議論はするが、EUの連帯は存続している。最終的にはなんとかやり遂げる」というメッセージが隠されているという。

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