ジョンソン英首相、医師が「不測の事態」に備えていた 入院中の状況明かす

Boris Johnson

画像提供, AFP

イギリスのボリス・ジョンソン首相は、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が悪化して入院していた際、自分の「不測の事態に備えた計画」が用意されていたことを明らかにした。2日付の英紙サンが報じた。

ジョンソン首相は3月末に新型ウイルスに感染。首相官邸で自主隔離しながら公務を続けていたが、4月5日にロンドン市内のセント・トマス病院に入院した。一時は集中治療室(ICU)で酸素供給を受けたものの、同12日に退院した。

サン紙のインタビューでジョンソン氏は、入院中の様子について、自分の命をつなぐために「何リットルもの酸素」が吸入されたと振り返った。

また、入院中は「どうやってこの状況を抜け出せばいいんだ」と自問自答を続けたという。

病院で複数のモニターにつながれていた首相は、「数値が悪い方向」に動き続けていると気づいた。

「辛い瞬間だった。それは否定しない。(中略)医師たちは状態がひどく悪化した場合のために、あらゆる手段を用意していた」

ジョンソン氏は、「たった数日で自分の健康がこれほど悪化したとは、信じがたかった」とし、回復できたのは「素晴らしい、素晴らしい看護」のおかげだと述べた。

<関連記事>

同紙のインタビュー掲載に先立ち、首相の婚約者のキャリー・シモンズさんは、先月末に2人の間に誕生した男の子の名前をウィルフレッド・ローリー・ニコラス・ジョンソンと命名したと明らかにした。

シモンズさんは生まれたばかりの子供との写真をインスタグラムに投稿し、子供の2つ目のミドルネーム「ニコラス」は、「ボリスの命を救ってくれた2人の医師、ニック・プライス医師とニック・ハート医師」にちなんだものだと書いた。「ニック」は「ニコラス」の短縮形。

男の子は、ジョンソン氏が新型ウイルス感染から回復し、公務に復帰して間もなく誕生した。ジョンソン氏はロンドンの病院で出産に立ち会ったという。

Carrie Symonds and her newborn son

画像提供, Carrie Symonds

画像説明, ジョンソン首相の婚約者のキャリー・シモンズさんと、先月末に誕生した男の子

治療にあたった医師にちなんで命名したことについて、BBCのジョナサン・ブレイク政治担当編集委員は、「首相にとってどれほど深刻な状況だったのかがうかがえる」と指摘する。

ニック・プライス医師とニック・ハート医師は、首相とシモンズさんに対し、「心からの祝福」を送った。

2人は声明で、「我々はこのようなかたちで認めていただけて光栄ですし、身が引き締まる重いです。ガイズ病院とセントトマス病院で共に働き、すべての患者が最高の治療を確実に受けられるように努力する、素晴らしいプロ集団に感謝します」と述べた。

「新しい家族の健康と幸せをお祈りしています」

入院患者数が減少

イギリス国内で新型ウイルスに関連して死亡した人の数は、1日に621人増えて、2万8000人以上に上った。

一方で、イングランド副主任医務官のジェニー・ハリーズ医師によると、新型ウイルスに感染し、病院で治療を受ける人の数は過去1週間で13%減少したという。

英政府は2日、ロックダウン(都市封鎖)が敷かれる中、生活環境が悪化しやすい子供たちや、家庭内暴力(DV)の被害者、奴隷労働を強いられている被害者など、家に「閉じ込められ」ている人々を支援するために、7600万ポンド(約102億円)を投じると約束した。

この措置は、ロックダウンが導入されて以来、数週間で暴力行為の「急増」が相次ぎ報告されていることを受けたもの。

Presentational grey line
Coronavirus graphic on what you need to do

感染対策

在宅勤務・隔離生活

Bottom of the web banner