英イングランド、店舗内でのマスク義務化へ 美容院やネイルサロンも再開

Customers wearing masks in shops in London

画像提供, Reuters

イギリス政府は13日、イングランドで24日から、店舗やスーパーマーケットに入店する際にマスクなどで顔を覆うことを義務化すると発表した。違反すると最大で100ポンド(約1万3000円)の罰金が科せられる。

店舗内でのマスク着用については、スコットランドが10日から同様のルールを施行する予定。スペインやイタリア、ドイツではすでに義務化されている。

イギリスでは5月半ば以降、公共スペースでは顔を覆うことが推奨されてきた。6月15日からは、公共交通機関でのマスク着用が義務付けられている。

他方イングランドでは13日から、新型コロナウイルス流行を受けたロックダウン(都市封鎖)の緩和を受け、美容院やスパ、ネイルサロンなどの営業が再開となった。一方、顔の脱毛など直接、顔をのぞき込んで行う施術は引き続き禁止されている。このため、営業できないサロンも多くあるという。

<関連記事>

店舗でのマスク着用は警察の管轄となり、違反した人には最大100ポンドの罰金が科せられる。ただし、14日以内に支払った場合には50ポンドに減額されるという。

一方、利用客のマスク着用について店側に強制義務があるのか、小売・流通業の労働組合が懸念していた点については、従業員は客にマスク着用を奨励するものの、強制する義務はないという決まりになった。

公共交通機関での着用ルールと同様、11歳以下の子どもと、特定の障害がある人は免除される。

ウェールズと北アイルランドでは現時点では、マスク着用は義務づけられていない。

政府内で混乱も

これまでマスクの義務化に慎重だったボリス・ジョンソン英首相は10日、密閉空間での新型ウイルス対策を強化する必要があるとして、方針を転換した。地元選挙区アックスブリッジの店舗でマスクを着けた姿で、写真に収まった。

しかしマイケル・ゴーヴ内閣府担当閣外相は12日、BBCの取材の中で、顔を覆うのは「配慮とマナー」の問題だとして、義務化の可能性を否定していた。

最大野党・労働党は、こうしたあいまいなメッセージはパンデミック中に政府が示し続ける優柔不断の表れだと批判。ジョナサン・アッシュワース影の保健相は、「政府指針は5月11日の時点ですでに、顔を覆うことを推奨していた。これを思えば、なぜこの内閣はこのパンデミックの中で意思決定がこうも遅いのか、なぜ(マスクの義務化発表から)新ガイドラインの施行までに11日もかかるのか、多くの人が疑問視している」と話した。

一方で小売・流通業の労働組合は、従業員と顧客を保護するためには「明確で詳細な」ガイダンスが必要だと指摘した。

さらに、顔を覆うことは徹底した衛生管理や、入店人数の制限など他人と距離を取る施策の代わりにはならないと述べた。

首相官邸は、オフィスなどでのマスク着用についても検討を重ねるとしている。

ネイルサロンやマッサージ店が営業再開

他方、イングランドでは13日から、美容院、ネイルサロン、マッサージ店、タトゥーやピアススタジオなどの営業が再開された。

いずれの店舗も、新型ウイルスの感染拡大を抑えるガイドラインに従って営業する必要がある。

一方、イギリス政府のガイダンスによると、顔の脱毛、眉毛のスレッディング(糸脱毛)、まつ毛エクステンション、化粧のタッチアップ、フェイシャルなどは、新型ウイルスの感染リスクが高いため、引き続き禁止されている。

Clare Gleadell cleans and disinfects surfaces at Beautique beauty salon in Loughborough as they prepare to reopen on Monday

画像提供, Joe Giddens/PA Media

理容院は先週末から営業を再開しており、男性のひげ剃りは許可されている。しかしイギリス美容協会は、簡単にそろえたり短くしたりするなど顧客の横側からできるサービスにとどめ、顔の前から行う施術は避けるべきだと説明している。

アロク・シャルマ・ビジネス相は、「このような小規模かつ独立したビジネスを再開させるのは、全国で雇用や収入を支援するための経済再開の一歩だ」と話した。

イギリス各地でロックダウンが緩和

イングランド以外でも、ロックダウン緩和の動きが加速している。

スコットランドでは屋内型ショッピングセンターの営業が可能となった。また、病院が外来受付を再開。また、屋外で身体が接触するスポーツを行うことも可能になった。

15日からは美容院や理容院も営業を再開できるほか、パブやカフェ、レストランは屋内での営業を許可される。

ウェールズは、パブやバー、レストランでの屋外席での食事提供と、美容院の営業再開を発表した。飲食店の屋内での営業は8月3日から可能になるという。

一方、歴史的名所や自然環境を保護しているナショナル・トラストも、一部の施設の公開を始めると発表した。イングランドと北アイルランドにある7カ所で、新しいルールに沿った試験公開を行う予定だ。