我が子を自転車事故の加害者にしないために

通学や習いごとの行き帰りに、いつも子どもたちが利用する自転車。警察庁のまとめでは、自転車による死傷事故の加害者の約4割が10代の子どもだというデータが出ています。
最近は自転車事故の賠償額が高額化していることもあり、自転車保険の加入を条例で義務付ける自治体も増えています。我が子を事故の加害者にしないためにも、安全な自転車利用について、万が一の備えを講じる時代がやってきています。

約4割が10代の加害者、賠償金も高額

自動車と違い、自転車は免許がいらないため、多くの人が気軽に利用しています。通学や通塾の手段として使う中学生・高校生も多いでしょう。
警察庁が公表した2017年度の交通死亡事故の特徴として、自転車対歩行者の事故で歩行者が死亡または重傷を負った事故のうち、38%が10代の運転者、12%が20~24歳の運転者によるものと判明しています。

自転車事故といっても、軽く見ることはできません。被害の大きさに合わせて、高額な賠償金を支払わなければならない事例も出てきています。
たとえば、子どもが加害者になった賠償責任の例として、小学5年生の男子児童(当時)が自転車運転中、前方不注意で歩行中の女性に衝突し、女性は頭の骨を折るなどの重傷を負い、意識が戻らない状態になったとして、保護者に9,521万円の支払いを命じた神戸地方裁判所の判決もあります(2013年7月4日)。

自転車保険の加入の義務化が進む

車の場合、事故を起こしてしまったときの「自賠責保険」が強制加入となっていますが、自転車にはありません。そのため、自転車利用者に自転車保険の加入を条例で義務付ける自治体が増えています。加入義務があるのは、自転車の利用者や自転車を利用する未成年者の保護者などです。

自転車保険の加入が義務化されている自治体の例としては、▽埼玉県(2018年4月1日より)▽滋賀県(16年10月1日より)▽京都府(18年4月1日より)▽大阪府(16年7月1日より)▽兵庫県(15年10月1日より)▽鹿児島県(17年10月1日より)▽相模原市(18年7月1日より)▽金沢市(同4月1日より)……があります。各自治体では、加入状況を確認できるチェックシートを公開しており、保護者や子どもが加入しているかどうか確認できます。

自転車通学を認めている学校では、賠償責任補償が付いている「TSマーク」を貼り付けた自転車を利用条件としているところもあり、この場合は既に自転車保険に加入していることになります。また、学校のPTA保険などでカバーしている場合もありますので、契約条件を確認するとよいでしょう。
自転車保険に加入するだけでなく、普段から自転車を安全に運転し、事故に遭わない・遭わせないようにすることも大切です。2008年の道路交通法改正により、13歳未満の幼児および児童に対するヘルメットの着用努力義務が施行されていますし、小中学校では自転車の安全利用に関する指導が行われています。
子どもを加害者にしないためにも、周囲の大人が自転車利用についての理解を深め、安全な自転車の乗り方について、親子で話し合う時間を作ることも大切ではないでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※警察庁「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」
https://www.npa.go.jp/news/release/2018/20180213001H29sibou.html

※日本損額保険協会「自転車事故と保険」
http://www.sonpo.or.jp/efforts/reduction/jitensya/index.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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