子どもの受験勉強にどう関わる?[高校受験]

中三の2学期後半になると、受験校の候補も絞らねばならず、お子さまの受験勉強がどの程度進んでいるのか気になってしかたない、という声もよく耳にします。定期テストや模擬試験の結果も、おおいに気になるところだと思います。
今回は、子どもの受験勉強への関わり方についてお話しします。

伸びる下地をつくるには、保護者の関わり方が大事

入試本番に向けて着実に伸びていく子には、いくつか共通点があるようです。
第一に、目標がはっきりしていること(自分から「行きたい」と思う志望校があること)。
第二に、目標達成のための課題が見えていること。
第三に、気持ちの切り替えが上手ですぐに集中でき、勉強のペースを自分でつくれることが挙げられます。
この三つを達成するためには、ご家族の関わりも重要です。

本人に「行きたい高校は自分で決めなくては」「そこに向けてどう勉強していくかも、自分で決めなくてはいけないんだな」という自覚があると同時に「困ったときはお父さん、お母さんに相談できる」「迷ったときは背中を押し、励ましてくれる」という安心感があるとき、子どもは最大限の集中力を発揮できるようです。

第一の「志望校」については、すでにはっきりしているかたも多いと思いますが、迷っている場合は、ご本人と実際に学校に足を運んで決めるとよいですね。学校や生徒と接することで「思い」も深まりますから、2学期時点の模試の合格可能性だけで「受かりそうなところ」に決めてしまわないほうがよいと思います。志望校への強い思いがあれば、第二の「課題発見」や第三の「勉強のペースづくり」が可能になり、実力が急に伸びるケースも多いためです。

「課題発見」の手助けを

志望校に近づくには、課題(苦手な教科や単元、不得手な問題形式やミスの傾向など)を発見し、そこに注力するのが効率的です。とはいえ、大人もそうですが、苦手と向き合うのにはエネルギーがいります。定期テストの答案や模試の成績表が返ってきたら、ぜひお子さまに声をかけて、今後どこに力を入れるべきか一緒にチェックしてみることをおすすめします。
その際、必要なのは保護者のかた自身が「課題」「苦手」を「マイナス」にとらえないことです。苦手こそ実力アップのポイントであることを意識しておきましょう。

集中しやすい環境づくりを

どのように時間を使って受験勉強を進めるか、お子さま自身が決めやすいように、食事、入浴の時間などは一定にしておきましょう。また、一般に勉強机のまわりは整理されていたほうが集中力は続きます。過去の定期テストや模試の答案など、見たいものがすぐ出せるようになっていることも大切です。整理はご本人に任せるべきですが、ひとりでは難しそうなら「手伝おうか?」と声をかけてみるとよいですね。

過去問はあきらめず「じっくり考える」ことの大切さを伝えて

中一・中二の総復習を終え、そろそろ受験校の過去の入試問題(過去問)に取り組み始めるお子さまも多いかと思います。その際、最初からストップウォッチを用意して「制限時間以内に!」取り組ませる、という保護者のかたがいますが、それはあまりおすすめできません。

過去問は、中三2学期時点の受験生にとって、かなりハードルが高いはずです。まずは制限時間にこだわらず、最後までじっくりと考えて解く癖をつけることが大切です。最初から制限時間ばかりを気にすると、かえって「あきらめる癖」がついてしまいます。
制限時間どおりに解く練習は、冬休み以降でよいと思います。「まずは納得がいくまで考えて解いてみたら」と声をかけることをおすすめします。

受験生とスポーツ選手は似ている?

言うまでもないことですが、勉強するのも入試を受けるのもお子さまであり、ご家族はご本人が最大限の実力を発揮できるよう、サポートすることしかできません。その意味で、受験生の保護者というのはスポーツ選手の家族と似たところがあるかもしれません。
すぐれたスポーツ選手は、たとえ失敗してもすぐ気持ちを切り替えて課題を発見し、乗り越えていきます。また、その家族も、試合に勝っても負けても結果に振り回されず、ふだんどおりを心がけ、いかに選手自身が平静な状態を取り戻せるかを考えてサポートすると聞きます。

高校入試は大きなイベントですから、そこには喜怒哀楽はつきものです。保護者のかたもストレスがたまりがちなことも多いかと思います。とはいえ、イライラを子どもにぶつけたり、感情的になることだけは避けたいものです。
また、家族内のもめごとや不和は、子どもの心配の種を増やし、集中力をそぐことになります。

お子さまが集中しやすい環境をつくるには、保護者のかた自身ができるだけ穏やかな気持ちで過ごすことが大切です。そのためには、ランニングやヨガなどで体を動かす、短時間でも好きな趣味の時間をもつなどして、自分の感情を思い切り解放する機会をつくることが必要かもしれません。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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