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ソフトバンクG孫社長、10兆円ファンド2号組成-「情熱97%」

更新日時
  • 6月に株式分割、今期の1株当たり配当予想は44円と実質倍増へ
  • 前期の投資ファンド営業利益は4.1倍、ウーバーなどの価値増加
ソフトバンクの孫正義氏

ソフトバンクの孫正義氏

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

ソフトバンクグループの孫正義社長は9日の決算会見で、ビジョンファンド2の設立準備に入ることを明らかにした。「ビジョンファンドに対する情熱が、私の情熱の97%」だと言う。

  規模についてはテクノロジー企業に投資し、10兆円ファンドと呼ばれる現在運用中の「ファンド1と同程度」になる見通しとし、「ファンド1でこれだけ好成績を上げたのだから、ファンド1の大半の方々はファンド2に対しても高い関心を示している」と述べた。ただ、サウジアラビアからの投資など交渉先は明らかにしなかった。

  組成方法は、「ソフトバンクグループが100%でスタートするという方法論も含めて考えている。そこに他の投資家が加わることも含めて方法論は何通りか検討している」と説明。ヤフーの自社株公開買い付け(TOB)に応じて得る5000億円強の資金は、ビジョンファンド2や増配に使う考えも明らかにした。孫社長によると、ビジョンファンド1の主要投資家のリターンは手数料差し引き後で45%だった。

SoftBank

会見するソフトバンクグループの孫社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  また、孫社長は今期(2020年3月期)の連結純利益が4年連続で1兆円を突破することに自信を示した。ビジョンファンドの収益貢献が高まる中、保有株式に対するソフトバンクG単独の純負債比率を25%未満に抑え、株主価値を最大化していく姿勢を強調した。

  6月27日を基準日とし、1株を2株にする株式分割を実施する。分割の実施は投資金額の引き下げを通じ、投資家層のさらなる拡大を図ることが狙い。今期の配当計画は前期と同じ44円を維持し、株主が受け取る配当金は実質2倍になる。配当金総額は927億円となる見込み。一方、株主優待は廃止する。

  孫社長は、分割と配当の実質倍増について「株主に対して春を楽しんで頂く」と述べた。

1-3月期の業績

  • 売上高2.43兆円、市場予想2.43兆円
  • 営業利益4949.2億円-前年同期1549.7億円
  • 純損失1272億円、市場予想損失1073億円

  ビジョンファンドの期末時点の保有投資先は69銘柄。投資額601億ドル(約6兆6000億円)に対し、公正価値の合計は723億ドルとなっている。1月に保有全株の売却を終えたエヌビディアについては、16年12月からの累計投資期間で3068億円(株式・カラー取引合計)の投資利益を上げた。

  19年3月期の営業利益は前の期比81%増の2兆3539億円、純利益は36%増の1兆4112億円。このうち、ビジョンファンドなど投資事業からの営業利益は同4.1倍の1兆2566億円だった。ウーバー・テクノロジーズなど継続保有する企業の公正価値増加に加え、フリップカート・プライベート株売却に伴う実現益の計上が寄与した。

  同社が筆頭株主である米配車サービスのウーバーは、ニューヨーク証券取引所へ新規上場する予定。事情に詳しい関係者によると、ウーバーなどハイテク企業に投資するビジョンファンドの新規株式公開(IPO)も検討している。

  一方、TモバイルUSとの合併手続きを進めている米携帯電話子会社のスプリントを巡っては先月、米司法省と連邦通信委員会(FCC)による審査が続く中、両社は合併合意の有効期間を7月29日まで3カ月延長した。

(会見での孫社長の発言詳細を追記します.)
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