Jディスプ、自己資本比率0.9%に-継続企業の前提に不確実性
古川有希-
5期連続の最終赤字、白山工場を中心に752億円の減損損失を計上
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月崎社長が新CEOに、上期中に1000人規模の早期希望退職を募集
ジャパンディスプレイが15日発表した前期(2019年3月期)の連結純損益は1094億円の赤字だった。自己資本比率は0.9%(昨年12月末15.1%)に低下した。
中台連合からの出資が確定しない場合には資金繰りに影響がある恐れがあり、決算短信に「継続企業の前提に関する注記」として「現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる」と記載した。
最終赤字は2015年3月期から5期連続。稼働率の低下した白山工場を中心に752億円の減損損失を計上した。最大顧客である米アップルの業績不振を受け主力の液晶パネル販売が低迷した。
前期の業績 |
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月崎義幸社長は決算会見で、「このような結果になったことをステークホルダーにお詫びする」と陳謝。ただ「今期の黒字のハードルは高い」との見通しを示した。Jディスプに出資予定の中台連合の機関決定が遅れていることについては、「順調に進んでおり、継続協議している」と述べるにとどめた。
大島隆宣最高財務責任者(CFO)は官民ファンドINCJから最大600億円のつなぎ融資があり、「われわれの経営状況は特に問題ないと考えている」と話した。つなぎ融資の期限の12月末までに台中連合からの出資を受けたいという。
発表によると、20年3月期上半期の売上高は前年同期(2143億円)から10%程度減少の見通し。1000人規模の早期希望退職を上期中に募集する。
また、病気療養中だった東入来信博会長兼最高経営責任者(CEO)の退任を受け、月崎社長が新CEOに、沼沢禎寛執行役員が専務兼最高執行責任者(COO)に就任する。6月18日の定時株主総会での承認を経て、代表取締役として月崎氏が再任、沼沢氏が新たに就任する予定。
Jディスプはアップルの不振の影響で収益と財務が急速に悪化。4月に台湾や中国の企業連合からの資本受け入れを発表した。しかし、企業連合から「事業の見通しを再精査した上で内部の機関決定を行う予定」と連絡を受け、前期決算の発表に合わせて予定していた共同記者会見を延期した。