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ソフトバンクG出資のVaakが資金調達へ、ビジョンファンドも関心

  • AI監視でテロ・凶悪事件を防止、米国やUAE政府・警察とも協議
  • 2022年の株式公開目指す、東京や香港、ニューヨークでの上場検討

ソフトバンクグループが出資し、人工知能(AI)監視システムを開発するスタートアップのVaak(バーク)は近く国内外から20億円規模の資金を調達する計画だ。海外での事業展開などに充てる。

  田中遼社長兼最高経営責任者(CEO、30)はブルームバーグとのインタビューで、8月にもソフトバンクGのベンチャーキャピタル子会社などが株式を引き受ける見通しを明らかにした。10兆円ファンドと呼ばれるビジョンファンドも、2020年ごろに予定される次回の出資機会に関心を示していると言う。

Vaak AI Cameras Can Spot Shoplifters Even Before They Steal

インテリジェント・セキュリティーの実用化を目指す田中社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  バークはソフトバンクGのベンチャーキャピタル、ディープコアの出資を受けて17年に設立した。海外でテロ事件、日本でも5月に川崎市で小学生約20人が殺傷されるなど凶悪事件が後を絶たない中、AIで挙動不審者や危険行動を認知する「インテリジェント・セキュリティー」の実用化を目指している。

  同社のカメラには10個以上のAIが搭載され、刃物など危険物所持の判断に加え、関節や表情の変化などからアルゴリズムで行動を予測。異常が検知されれば、警察などに通報する。今月から東京駅近くの新丸の内ビルディングで画像精度などを確認する実験に入り、今後は空港や商店街などで設置していきたい考えだ。

  田中社長は、「社会的格差が広がっている国では巨悪な事件が起こりやすく、件数も増えている。対処療法として早期に検知して事前に警戒態勢を取ったり、監視体制を抑止力として被害の発生防止につなげたい」と述べた。

年内にサンフランシスコとシンガポールに拠点

  バークでは、年内にサンフランシスコとシンガポールに拠点を設立する予定だ。インテリジェント・セキュリティー分野で米国やシンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)などの政府や警察とシステム導入に向けた協議が進行中。「海外では非常に多く引き合いを頂いている。格差が大きいため、日本よりもニーズが大きい」と早期の収益化に自信を示した。

  田中社長によると、22年にも新規株式公開(IPO)し、東京と香港、ニューヨークでの上場を検討している。現在、主幹事証券候補と協議も行っている。

  従業員数は5月末時点で53人だったが、業務拡大に伴い毎月10人ペースで採用し、年内に100人程度まで増える見通し。6月にはシティグループなどで投資銀行業務を経験した丸小野拓道氏を最高財務責任者(CFO)に起用した。

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