米国債「ひどく高い」、債券投資家が強い警戒感-市場の奥行きに疑念
Liz Capo McCormick-
リスクが高まるに伴い若干懐疑的になる-アルファシンプレックス
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奥行き示すJPモルガ指数は今月一時12カ月平均を60%下回る
米金融当局による量的緩和(QE)期以降で最も好調な米国債相場をあおる世界的な債券相場上昇に、投資家が疑問を抱き始めている。
今週はドイツの30年債入札が不調に終わり、成長減速の兆候の中でもマイナス利回り債券への需要が弱まりつつあることが示唆された。
ドイツ30年債入札、需要は低調-落札利回り過去最低のマイナス0.11%
米国ではモメンタム投資家が債券値上がりの流れに乗ってきたが、ボラティリティーが高まり市場の奥行きが浅くなるなど、利回りがそろそろ底を打った兆候も見えつつある。
クオンツ投資を手掛けるAQRキャピタル・マネジメントの共同創業者クリフ・アスネス氏は今月、バリュエーションを巡る懸念に言及した「債券はひどく高い」と題したブログを公表した。米国債は「自動的にショート」する対象というわけではないが、歴史的に見て極端な利回り水準は議論に値すると同氏は記した。
アルファシンプレックス・グループの主任調査ストラテジスト、キャスリン・カミンスキ氏は「モメンタムトレーダーにとっては夢のような取引だった」とした上で、「依然として債券にとても強気だが、ボラティリティーが拡大しリスクに対する代価は低くなっている。リスクが高まるに伴い、われわれは若干懐疑的になる」と述べた。
米中貿易戦争や世界経済減速懸念で、先週の取引で10年物米国債利回りが1.5%、30年物が2%を下回り、2年物と10年物の利回りは逆転した。
米30年債利回りが初めて2%下回る、2年・10年逆イールドも再出現
国債先物市場のトレンド追随戦略の成績を示すソシエテ・ジェネラルの指数は過去最高となった。同戦略のアルゴリズムは全ての年限をロングにしている。ソシエテのストラテジストらは「トレンド追随戦略の好パフォーマンスの後は通常、流れが反転する」とリポートに記した。
債券強気派も、ここ数週間のボラティリティーの高まりを受けてロングポジション維持に疑問を感じている。10年物の米金利スワップのボラティリティー(3カ月物オプション)は今月、2017年1月以来の高水準に達した。
カミンスキ氏によれば、ボラティリティーは長期債で目立っている。取引量の減少と流動性低下を受けて、同氏は運用するマネージドフューチャーズ戦略の米国債ロングを若干減らしたという。
この夏の債券相場上昇は取引の薄い状態で起こっており、利回り急低下について確信している投資家は実は多くないかもしれない。市場の奥行きを示すJPモルガン・チェースの指数は今月一時、12カ月平均を60%下回り、8月であることを踏まえても低い水準だった。
原題:Bond World on High Alert Over ‘Frickin’ Expensive’ Treasuries(抜粋)
Bond World on High Alert Over ‘Frickin’ Expensive’ Treasuries