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Photographer: Tolga Akmen/AFP
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ジョンソン英首相、10月末のEU離脱方針堅持-保守党の混迷深まる

  • EU離脱計画には変わりがないとジャビド財務相とラーブ外相が強調
  • 首相の離脱合意確保の努力足らない-雇用・年金相を辞任のラッド氏

ジョンソン英首相は、議会での相次ぐ敗北に加え、雇用・年金相を突然辞任・離党したラッド議員からリーダーシップを厳しく批判された。だが、10月31日までに欧州連合(EU)を離脱する計画を推し進める考えだ。複数の閣僚が明らかにした。

  ジャビド財務相とラーブ外相は8日、離脱延期法案が議会で承認され、近く成立する見込みとなったものの、EU離脱計画には変わりがないと述べた。同法案は10月19日までに新たな離脱案が議会で承認されるか、合意なき離脱に議会が同意しない限り、離脱離脱期限を3カ月延期する申請をジョンソン首相に義務付ける内容。

  ラーブ外相はスカイニューズとのインタビューで、「ジョンソン首相は信念を守っている」と発言。協議のため首相が9日にアイルランドの首都ダブリンを訪れる予定だとした上で、「われわれは交渉を推し進めるつもりだ。10月末までの合意が望ましいと承知しているが、何が起ころうとわれわれは離脱しなければならない」と語った。

  ラッド氏の辞任により、発足6週間余りのジョンソン政権はさらなる混乱に見舞われた。英下院は4日、EU離脱延期法案を可決するとともに、それを受けてジョンソン首相が提出した総選挙実施の動議を否決。さらにジョンソン首相の弟であるジョー・ジョンソン氏が5日、首相の離脱計画に反対し、民間企業・エネルギー産業戦略担当相などを辞任した。

  ジョンソン首相のチームの重鎮の1人で、欧州との関係を重視する穏健離脱派のラッド氏の辞任と離党により、首相への圧力は強まることになる。ジョンソン首相は反対者への攻撃的な姿勢と、来月末に何が何でも離脱するとの立場を撤回するよう求められている。
  
  ラッド氏は辞任表明の書簡で、ジョンソン首相にはEU離脱で合意確保に向けた十分な努力が見られないと批判。離脱延期法案の下院採決で造反した保守党議員21人を党から除名する決定を下したことは受け入れ難いとし、「このような政治的破壊行為は支持できない」とした。

  ジャビド財務相は、EUとの新たな合意に向けジョンソン首相は「全力で取り組んでいる」と主張。EU側の交渉担当者に提案を行う予定だが、これについてコメントするのは時期尚早だと述べた。一方、EUの当局者らは英国からの提案をまだ受けていないと語った。

  財務相はBBCとのインタビューで、「提案が存在することを承知しているが、これについて公に話し始めるとすれば、それは正気を失った行為だ」と発言。「首相は小規模のグループを設け、EUが立場を変えれば、それに応じて機動的に動けるようにした」と説明した。

  英紙サンデー・タイムズは、議会を通過した離脱延期法案が成立した場合でもジョンソン首相は受け入れない計画だと報じた。10月19日の期限後に最高裁で争う見込みであり、合意なき離脱を予定している10月末までに判断が示されるか、時間との競争にもなるとした。

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原題:Embattled Johnson Proceeds With Brexit Plan Amid Tory Turmoil(抜粋)

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