ゆうちょ銀:米バンクローン投資にブレーキ、CLOは継続-関係者
浦中大我-
信用格付けの低い企業向け融資に対する市場の懸念の高まりに対応
-
CLOは最も安全性の高い資産への投資でリスクは低く新規投資継続
ゆうちょ銀行は米国のバンクローンへの新規投資を抑制する。信用格付けの低い企業向け融資に対する市場の懸念が高まっていることなどが背景。ローン担保証券(CLO)については、バンクローンファンドへの投資と比べてより安全性が高いとして新規投資を継続する。関係者がブルームバーグの取材に対して匿名を条件に語った。
関係者によると、ゆうちょ銀は米国のバンクローンファンドに約6兆円を投資している。主に非投資適格企業への貸付債権を束ねたファンドのことで、今年度は積極的に投資する方針だった。ただ、その後、低格付け企業が抱える債務の膨張リスクに対する懸念が高まってきたことから、今夏に方針を変更し、新規投資については慎重な姿勢へと転じた。
一方、同じように低格付け企業向け融資を組み込んだCLOについては、新規投資を継続する。この違いについて関係者は、CLOの場合、最も安全性の高い階層のものに投資することでリスクを低くできると判断しているためだと説明する。ゆうちょ銀は間接的に保有する分も含めて約1兆9000億円のCLOを保有している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も、かつてサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機により、金融機関が多額の損失計上を迫られた債務担保証券(CDO)などの金融商品と比べ、CLOは一段と安定した構造を持ち、規制監督当局の監視も強化されていると説明している。
ゆうちょ銀の広報担当者は個別の運用の内容についてはコメントを差し控えると述べた。マイナス金利の環境下でこれまで運用の大半を占めていた日本国債への投資では十分な利回りを確保できなくなっていることから、ゆうちょ銀など日本の金融機関の間では、より高い利回りを求めて海外での投資の比率が高まっている。