アステラ薬:米バイオ企業オーデンテス買収へ、TOBで3300億円
竹沢紫帆、黄恂恂-
TOB価格は1株当たり60ドルと2日終値に110%のプレミアム
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アステラ薬は買収によって遺伝子治療を新たな成長領域に育てる考え
アステラス製薬は3日、米ナスダック上場のバイオテクノロジー会社オーデンテス・セラピューティクスを買収することで合意したと発表した。株式公開買い付け(TOB)を実施し、発行済み株式の全株を取得する。買収総額は30億ドル(約3300億円)を見込む。
TOB価格は1株当たり60ドルとオーデンテスの2日終値に110%のプレミアムを加えた。発行済み株式の50%超の応募があった場合に買い付けを実施する。買収資金は銀行借り入れで充当する。TOBは今後数週間以内に実施し、開始後20営業日で終了する。
オーデンテスは独自の遺伝子治療薬の技術プラットフォームや治療薬を自前で製造することができる高い能力を有しているという。アステラ薬は買収によって遺伝子治療を新たな成長領域に育てる考えだ。
オーデンテスは2012年の設立。2019年9月末時点の連結純資産は3億8346万ドル。アステラ薬は買収による今期(20年3月期)業績への影響については現在精査中としている。
岡村直樹副社長は会見で、この買収により遺伝子治療薬の「製造ノウハウを手に入れることができる」とし、がん免疫療法などに次ぐ5つ目の事業の柱に据える考えを明らかにした。資金調達について「社債はオプションの1つ」と述べた。
アステラ薬株は3日、発表を受けて一時前日比1.9%安の1862円まで下落した。