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【日本株週間展望】荒い展開、追加関税控え米中協議注視-FOMCも

12月2週(9日-13日)の日本株は荒い値動きが予想される。5日に経済対策が閣議決定され、景気浮揚への期待感が日本株の支えになる半面、対中追加関税の発動期限に向けて米中協議が難航すれば、グローバル景気への不安拡大から大きく値崩れするリスクもある。

  トランプ大統領は中国との交渉について6日、「うまく進展している」と発言した。市場には年内にも「第1段階」の合意がまとまるとの見方が根強い。ただ、関税の発動が回避されるかについては明言がなく不透明なままだ。米大統領は、米中が通商協議に合意できなければ12月15日から1600億ドル(約17兆3700億円)相当に15%の追加関税を課す構え。

  10ー11日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、パウエル議長の会見と経済予測が注目材料。金利先物市場が示す利下げ確率はゼロと無風の見込み。ただ、米中交渉に亀裂が入るようなら、米連邦準備制度理事会(FRB)が経済悪化の予防策として緊急利下げに踏み切る可能性も捨て切れないとの見方がある。

  13日には日銀短観(12月調査)が発表される。大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)の事前予想は3と、4期連続悪化の見込み。企業心理の悪化が確認されれば株式市場にマイナスに作用するリスクがある。12日には欧州中央銀行(ECB)金融政策会合が開かれる。ラガルド総裁が会見でマイナス金利についてどんな発言をするか注目されている。12月1週のTOPIXは週間で0.8%高の1713.36と続伸。

 

《市場関係者の見方》

JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジスト

 「上昇を予想する。米中協議は部分合意に向けて前進し、対中追加関税は市場コンセンサス通りに発動されない可能性が高い。米国にとって景気を下支えする消費に悪影響となる追加関税は得策でなく、中国側も影響を回避したいため、歩み寄りを見せるだろう。FOMCでは来年の方針として低金利政策の継続が確認され安心感を与えそうだ。日銀短観については相次いだ自然災害や消費増税から業況の改善は難しいが、海外景気の持ち直しや閣議決定した経済対策の効果が期待される」

大和総研経済調査部の小林俊介シニアエコノミスト

  「米中協議の行方次第で大荒れも予想される。対中関税の延期が示唆されれば日経平均は2万4000円台に到達することが可能。確率は低いが、関税発動となれば2万2000円割れの可能性もある。週前半に米中協議が決裂し、関税発動の可能性が高まると、FOMCが先手を打って緊急利下げを行うシナリオもあり得る。一方、需給面からは、13日に株価指数先物・オプション12月限の特別清算値(メジャーSQ)算出があり、株価の波乱材料となる可能性に注意したい」

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