トランプ大統領、「偉大な米国の復活」を自賛－一般教書演説

トランプ米大統領は４日夜（日本時間５日午前）、上下両院合同本会議で一般教書演説を行い、「世界で最も繁栄し包摂的な社会」を構築しつつあると、自身の成果を誇った。

　　上院での弾劾裁判中の異例の一般教書演説となったが、大統領は５日の評決での無罪が確実な情勢。最新のギャラップ世論調査でトランプ氏の支持率は就任以来最高になった。

　　トランプ大統領は演説で米経済の力強さと「偉大な米国の復活」を強調して実績を自賛。11月の大統領選での再選に向けて自身を支持すべき理由を訴えた。

　　大統領は「わずか３年間で、われわれは米国の衰退というメンタリティーを一掃し、米国の運命の矮小（わいしょう）化を拒絶した」と指摘し、「少し前には想像できなかったほどのペースで米国は前進しており、決して後戻りはしない」と明言した。

　　トランプ大統領はまた、自身の経済政策の恩恵は広く行き渡っていると強調することで、政策が富裕層を優先しているとの批判に反論。「米国の比類なき成功に全ての市民が参加できる。米国の類いまれな発展に全てのコミュニティーが加われる」と呼び掛け、勤労者らにアピールした。

　　トランプ大統領は米国株の相場上昇について、「誰もが可能だと考えていたものを超越している」と語った。大統領は株価を政権の命運を握るバロメーターの１つに位置付けている趣旨の発言を行っている。

中国

　　大統領はまた、石油・天然ガス開発を制限してきた環境規則など、規制緩和の取り組みも強調。中国との第１段階の合意や、北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）に代わる「米国・メキシコ・カナダ協定（ＵＳＭＣＡ）」など貿易面での成果も強調した。

　　このうち中国を巡っては、「米国の雇用の大規模な窃取」に対抗するために同国に関税を課す自身の戦略は成功だったと主張。「われわれの戦略はうまく行った」とし、「数十年にわたり、中国は米国を利用してきた。われわれは現在、それを変えているが、同時に、習近平国家主席を含め中国との関係は恐らくこれまでで最も良好だ」とも語った。

　　中国を中心に世界各地に感染が広がった新型コロナウイルスについては、「私の政権は米国民をこの脅威から守るために必要なあらゆる措置を取る」とした上で、新型ウイルス感染に関して中国と協力していると話した。

　　トランプ大統領は現在の医療保険制度を公的な国民皆保険に切り換える民主党案を批判する一方で、自身の政権は「あなた方のメディケア（高齢者・障害者向け医療保険）と社会保障を常に守っていく」と発言した。ただ大統領はこれまで、膨らむ財政赤字削減のため社会保障費を縮小すると示唆していた。

　　大統領の後ろに座って終始なるべく目を向けないようにしていたペロシ下院議長は、一般教書演説終了後に立ち上がり、演説のコピーと見受けられるものを４回に分けて破ってみせる姿が映し出された。

原題：Trump Touts His ‘Great American Comeback’ in State of Union (1)　（抜粋）
　　　Trump Says Relationship With China, Xi Perhaps Best Ever
　　　Trump Says U.S. Is Thriving Again and Markets ‘Soaring’
　　　Trump Says Working with China on Virus Outbreak　Pelosi Appears to Rip Copy of Trump’s Speech As His Remarks End